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イノベーション・エコシステムの内側

photo by Ansgar Schefford

グローバルイノベーションハブの先導役を担う「Nordic Innovation House Tokyo」のコミュニティディレクターのNiklas Karvonen氏に、北欧のイノベーションエコシステムについてお伺いした。

北欧のイノベーションエコシステムは福祉国家の上に成立


北欧諸国(フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、デンマーク)はすべて福祉国家であり、国民に無料の教育、医療、社会保障を提供している。5カ国とも世界幸福度ランキングのトップ10にランクインしており、ワークライフバランスの良さでも知られている。

彼らのイノベーションエコシステムは、電子政府の枠組み、合理化された官僚制度、多様な資金調達方法等を中心に構築されている。活発な北欧ビジネス・エンジェル・ネットワークや政府資金のほか、アクセラレーター、輸出ガイダンス、地域ビジネス開発者センターなどがあり、オープンなネットワーク、イベント等を通じて、共有・コラボレーションを行う文化がある。

Niklas Karvonen Profile さん
Nordic Innovation House TokyoのコミュニティディレクターのNiklas Karvonen

北欧人の大多数が英語が堪能で、尚且つ国内市場は非常に小さいため、企業は事業を立ち上げる際にすでに「グローバル・ファースト」の考え方を採用しており、これが新市場への参入や多様な人材の採用への障壁を低くしている。

また、北欧の多くの国は文化や歴史、言語を共有し、市民同士の交流や移動、信頼関係の構築が容易であることや、厳しい気候のために、隣国と協力して生き延びる必要があったため、北欧市民の多くはヨーロッパ全土に人脈がある。

北欧スタートアップ・エコシステムの今後の課題は、大規模な機関投資家や連続起業家の不足、専門分野におけるグローバル人材の獲得などが挙げられる。

人口合計が2700万人弱だからこそ協力する


北欧諸国は人口が少ない(最も多いスウェーデンでさえ1000万人強と東京よりも少ない)ため、積極的に国を超えて協力しており、1952年に正式な北欧協力の公式機関である北欧評議会が結成され、2030年までに北欧が世界で最も持続可能で統合された地域になることをビジョンとしている。

ノルディック イノベーション ハウスは、北欧5カ国の政府が支援し、ノルウェーのオスロに本部を置くノルディック・イノベーションが資金を提供、北欧大使館や北欧商工会議所とも連携している。メンバーは、ビジネス・フィンランド、ビジネス・スウェーデン、イノベーション・ノルウェー、プロモート・アイスランド、デンマーク大使館で構成され、理事会の会長は、透明性と平等性を確保できるよう輪番制になっている。

北欧諸国はどう違うのか?


5カ国に共通する項目として、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語は相互に理解でき、大多数が英語が堪能なことが挙げられる。また、クリーンテック、ヘルステック、ディープテック、デジタルトランスフォーメーション、ゲーム(2013年にソフトバンクがフィンランドのモバイルゲームメーカーであるSupercellの15億ドルの株式を購入)は主要産業として共通しており、それ以外に下の表にあるような国ごとの違いが見られる。

北欧諸国それぞれの特徴
北欧5カ国のそれぞれの特徴

文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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