フォーブスが発表した最新の「世界長者番付」に名前が挙がった女性富豪たちの推定資産に基づくランキングは、5年ぶりにトップが入れ替わることとなった。2021年から3年連続で「世界一裕福な女性」となっていた仏ロレアルの相続人フランソワーズ・ベタンクール・メイヤーズが、米小売大手ウォルマート創業者の娘、アリス・ウォルトンにその座を明け渡し、2位となっている。
それぞれの保有資産は、ウォルトンが1010億ドル(約14兆9000億円)、ベタンクール・メイヤーズが816億ドル(約12兆円)と推定される(金額はいずれも、2025年4月10日の為替レートで換算)。
1992年に死去したサム・ウォルトンの一人娘であるアリスの資産は、前回の番付作成時より約287億ドル(約4兆2300億円)増加。およそ11%を保有するウォルマート株の株価が40%上昇したことが、その額を膨らませた。インフレ率の上昇が続く中で、「Every Day Low Price(毎日安売り)」を掲げるウォルマートは、好調な客足を維持している。
一方、1957年に死去した祖父のユージン・シューラーが創業したロレアルは、同じ経済状況下で株価をおよそ20%下げており、相続人であるベタンクール・メイヤーズの資産は、同じ期間に179億ドル(約2兆6400億円)減少した。
女性「センチビリオネア」は2人だけ
現在75歳のウォルトンは、フォーブスの最新の長者番付で、世界にわずか15人しかいない「センチビリオネア(推定保有資産1000億ドル以上)」と推定されている1人。このわずかな人たちの中に名前があがる女性は、2024年に仲間入りを果たした71歳のベタンクール・メイヤーズと、ウォルトンの2人だけだ。
この15人のうち、ウォルトンの順位は最も低い15番目。何ランクか上には2人の兄、ロブ(80)とジム(76)が名前を並べている。それぞれの総資産は、推定1100億ドル(約16兆2000億円)、1090億ドル(約16兆1000億円)とみられている。
アリス・ウォルトンの経歴
アリスは1971年にテキサス州のトリニティ大学を卒業。短い期間、ウォルマートで子ども服のバイヤーとして働いた。その後はニューオーリンズで証券会社EFハットンの株式ブローカーとして勤務。1980年代に実家があるアーカンソー州のベントンビルに戻り、家族が経営するアーベスト銀行の投資事業を担当した。さらにその後、家族の支援により1950 万ドル(約28億8000万円)で投資銀行Llama Company(ラマ・カンパニー)を設立。1998年に同社を廃業した後にテキサス州に移り住み、キュレーターとしての活動を開始した。
アーカンソー州ベントンビルにクリスタルブリッジズ・アメリカンアート美術館を設立した後は、10年にわたって理事長を務め、2021年に退任した。現在は甥のトム・ウォルトンの妻、オリビアにその立場を譲っている。