アリスがクリスタルブリッジズ・アメリカンアート美術館をオープンしたきっかけは、故郷の周囲およそ500キロメートル以内にそうした施設がないと気づいたことだったという。
120エーカー(49万平方メートル)の敷地にこの美術館を建て、アンディ・ウォーホルやジョージア・オキーフなどの作品を集めたその功績は、高く評価されている。また、2011年に開業した同美術館の設立時には、必要な費用およそ16億ドル(約2360億円)のほぼ全額を、亡き兄ジョンと母ヘレン(2007年に死去)が設立した信託に頼ったという。
アリスはここ10年、慈善活動にさらに力を入れてきた。家族が運営する5つの慈善財団に58億ドル(約8560億円)以上を寄付しており、これまでにそのうち約17億ドル(約2510億円)が、いずれかの慈善活動に分配されている。
例えばその一部である約4億ドル(約590億円)は、ウォルトン・ファミリー財団(アリスの両親が1987年、ウォルマートの創業25周年を記念して設立)を通じて教育改革や環境、ベントビル周辺地域のために活動する団体に寄付されている。
また、アリスが2016年に設立したアート・ブリッジズ財団が作品を購入したり、全米の230以上の美術館など(シカゴ美術館、ニューヨーク近代美術館、ワシントンD.C.にあるナショナル・ポートレート・ギャラリーを含む)に貸し出したりするために費やした5億ドル(約738億円)以上も、この寄付によって賄われている。
そのアート・ブリッジズ財団は2024年8月、ベントンビルに新設されるアリス・L・ウォルトン医科大学に、2億4900万ドル(約367億円)を寄付したことを明らかにしている。
「芸術と人文学、総合的な健康の理念によって、伝統的な医学教育を強化する」ことをうたうこの医大は、2025年7月に開校の予定。第1期の学生48人が、学び始めることになっている。
アリスは自らの名を冠した「アリス・L・ウォルトン財団」のウェブサイトで、「人々、そしてコミュニティの夢の実現を支援する機会を作りたい」と述べている。それができることは人生の喜びであり、名誉なことだと考えているという。


