世界中から優秀な人材が集まり、現在の人口は約120万人と近くのワシントンD.C.よりも多く、郡の1世帯あたりの平均年収も11万8000ドル(約1250万円)と、全米トップ3に入る。
「Fortune 500」に入る11の企業が拠点を置き、日本からもキヤノン、富士通、日立など20社以上の企業が進出、400社以上のグローバル企業の米国拠点ともなっている。
これほど多くの企業を惹きつける理由を探るべく、FCEDA(Fairfax County Economic Development Authority)のDirector CommunicationsのAlan Fogg氏を取材。その話をもとに、フェアファックス郡の利点をまとめてみた。
1. 優れた人材プール
全米の大学卒業率が平均25%なのに対し、フェアファックス郡では60%以上で、卒業生の4人に1人はテクノロジー分野に従事。サイバーセキュリティ、クラウド、データ分析、AI、ソフトウェア開発とエンジニアリング、定量分析などの分野に人材を輩出している。
郡内には、世界市場向けにサービスを提供する約8900社のテクノロジー企業もあり、世界中から絶えず若い才能が流入している。そのため人口の3分の1は移民で、コミュニティは多様であり、シリコンバレーと比較しても、バージニア州北部のテクノロジー部門で働く女性は2倍、アフリカ系アメリカ人は5倍となっている。
2. 地理的な近接性
東部の大西洋岸沿いの中央に位置していることから、ボストンにもアトランタにもアクセスが良い。ワシントン・ダレス国際空港やロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港が利用でき、高速道路や地下鉄も充実するなど、国内外のアクセスに優れている。
何より首都ワシントンD.C.に近いことから、連邦政府との契約も多く、昨年は270億ドル以上(約2.8兆円)がフェアファックス郡の企業に支払われている。
3. 法人所得税率の低さ
フェアファックス郡のあるバージニア州は1972年以来、法人所得税率を引き上げておらず、税務財団によって全国で10番目に低い法人税の州にランクされている。また、適格投資、グリーン雇用創出、研究開発、テレワーク費用、労働者の定着などを含む、法人所得税の控除などもある。
4. 魅力的なオフィス環境
フェアファックス郡には、米国で2番目に広大な郊外オフィス市場(D.C.のメトロエリアで最大)がある。また、郡の企業の95%が50人以下の従業員数のため、それに適応した手頃な価格の不動産が豊富だ。
5. スタートアップにとっての利点も
郡内のスタートアップ企業は、ここ1年間で3億8300万ドル(約400億円)のベンチャーキャピタル投資を達成。多数のテクノロジー組織、ワシントンD.C.地域にある108の連邦研究所、資金調達、管理、製品開発に関するアドバイスを行うアクセラレーターなどの恩恵も受けている。