このほか、全国の自治体においては、子どもの貧困や児童虐待を未然に防ぐために、教育委員会と市長部局がもつ子どもに関する情報を統合し「虐待などの現象が認知される前に、行政が先に子どもの変化に気づき、手を差し伸べる」といった構想も明らかにした。
大阪府箕面市や東京都足立区の子どもに関する行政データ活用の事例をもとに全国調査を進めたいという。
経営者に問う「その書類や押印、本当に必要?」
河野大臣は、内閣府に設置した規制改革・行政改革ホットライン「縦割り110番」の受付について、2カ月間で7000件集まり、受付は停止することに。優先順位をつけて対応していきたいとした。一方で、寄せられた情報の中でも、国や行政側の問題でなく、業界内の慣習やルールがデジタル化を阻んでいる点があると指摘。
「その書類や押印、本当に必要なの? 電子化、キャッシュレス、ペーパーレスできないの? と、皆さんの業界でも見直してもらいたい」と呼びかけた。
日本国内の経済情報についても、日銀短観や月例報告の掲載までタイムラグが合ったが、内閣府の「V-RESAS(Vリーサス)」によって経済データの最新版をチェックできることを紹介。河野大臣は、業界ごとのビッグデータについての情報提供も求めた。
一方、菅首相は、自身の基調講演で、最大の責務について「GDPが戦後最大の減少をする中、新型コロナウイルスの感染拡大が終わらないが、国民の命を守ることが私の使命」とした上で、日本社会のデジタル化とグリーン化の二軸で政策を進めて行く考えを改めて示した。
9月には国連総会で外交デビューした菅首相。直近のG20では、世界のグリーン産業を牽引していく考えを国際社会にアピールしたばかりだ。
菅義偉首相(右)とモデレーターを務めた竹中平蔵氏
次項では、菅首相が基調講演でいくつか提示した、政策の現状と実現のめどを記したい。