経済・社会

2020.11.25 07:00

その書類、必要? 菅首相と河野大臣が経営者たちに話した「中身」

G1経営者会議で、経営者に向けて菅首相がアピールしたことは


【新型コロナウイルスのワクチン】

新型コロナウイルスのワクチンの安全性、有効性の確認を最優先に、来年の前半までに全ての国民に行き渡るような数量を確保したい。高齢者や医療従事者などへ優先的にワクチン接種ができるようにするために、国会で審議中だ。
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【デジタル化】
コロナ禍で浮き彫りになった行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れについて多くの声を聞いた。マイナンバーカードを今後2年半のうちに全国民に普及させ、2021年3月には健康保険証と一体化して、利便性を高める。

デジタル庁を創設し、来年には始動させたい。まずは各自治体の業務システムの標準化を行う。役所に行かなくても、行政や医療サービスを滞りなく受けられるようにする。

【グリーン化】
総理大臣就任後(所信表明演説で)「カーボンニュートラル宣言」をした。
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2050年に温室効果ガスゼロを掲げ、地方と連携しながら脱炭素社会に向けて推進していく。温暖化に対しても受け身ではなく、攻めの姿勢で取り組む。積極的に温暖化対策をすることは、経済成長の制約ではない。発想の転換で、環境と経済の好循環をつくっていきたい。政府としては、イノベーションを巻き起こそうとする企業を全面的に支援する。

電力は全てカーボンニュートラルな再生可能エネルギーにしたい。合わせて電力ネットワークのデジタル制御を進めるなど、グリーンとデジタルを車の両輪として加速度的に変革を進めたい。日本企業には240兆円もの現預金があると言われ、国内にもグリーン需要が高まっている。国際的にもグリーン投資の機運が高まっており、日本企業を売り込んでいく。

【経済政策の方針】
世界経済が低迷する中で、アジアだけでなく「世界の国際金融センター」として自由で開かれた経済圏を築きたい。一方で、コロナ禍で日本の経済を底上げすべきではなく、雇用をしっかり守って事業の継続ができるように対策をして行く方向性だ。将来を見据えて、経済をもう一度、動かしたいという思いで政権運営をしている。

菅義偉首相
河野大臣ら側近に指示を出しながら、改革を急進させる菅首相。その胸中は

──「G1経営者会議」でそろって行政改革とDX推進の本気度を見せた、菅首相と河野大臣。河野大臣は自身のセッションの最後にも「総理からは、できるなら年内にやってくれと言われ『ひぇ~』と言いながらも進めています。やらなければ、総理にばれちゃいますから」とおどけた。まずは行政内部で揺さぶりをかけて地殻変動を起こし、民間企業を巻き込みながら、デジタル後進国・ニッポンの大改革を急進させたいのだろう。強力なリーダーシップをとりたい首相の思惑がにじみ出ていた。

文=督あかり 写真=Christian Tartarello

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