経済・社会

2020.11.23 07:00

新型コロナ「再感染者」が増加、パンデミックとワクチンへの影響は?

ボリス・ジョンソン英首相(Photo by Max Mumby/Indigo/Getty Images/Pool)

ボリス・ジョンソン英首相(Photo by Max Mumby/Indigo/Getty Images/Pool)

今年3月下旬に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染、一時重症化したボリス・ジョンソン英首相が11月15日、検査で陽性と判明した議員と接触していたとして、自主隔離に入ると発表した。

すでに新型コロナウイルス感染症(Covid-19)にかかったジョンソン首相には、抗体ができているはずではないのだろうか。

発表されているいくつかの研究結果によれば、SARS-CoV-2に感染したことで獲得された免疫は、比較的短い期間のうち、おそらく3~6カ月のうちに消失する可能性があるとみられている。これは、その他の種類のコロナウイルスの多くにみられる、典型的な特徴だ。

私たちは、「抗体ができる」ということが免疫反応の一部でしかないことに、注意しておく必要がある。一度SARS-CoV-2に感染した人も、再感染する可能性はある。そして、研究者らはすでに、そのことを明確に支持する証拠を確認している。

ベルギーでは、今年3月に初めてSARS-CoV-2に感染した医療従事者が、免疫ができていたにもかかわらず、9月に再び感染したことが報告された。研究者らは、この医療従事者のようなケースが向こう数カ月間に大幅に増加すれば、「SARS-CoV-2に対する免疫は長期にわたって継続しないということが、はほぼ確実になる」と考えている。

オランダのニュースサイト、BNOニュースによると、ウイルスの遺伝子を調べたうえで、再感染したことが確認された人は、これまでのところ世界全体で25人。再感染の可能性が高いことが、十分な証拠とともに報告されている人は、421人だという。

同サイトは、詳細かつ正確な証拠に基づいて確認されたケースだけでもこれだけの数になるということは、実際にはさらに多くの人が再感染しているはずだと警告している。

研究者らの一部は、再感染は「科学的に起こりうること」ではなく、「わずかに可能性があること」でもないと確信している。オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学医療センターのマリオン・クープマンス教授(ウイルス学)は、「(再感染したことを示す)事例があると認識しておけばいい段階は過ぎた」と断言する。

再感染した患者の多くは、最初の感染のときよりも症状は軽い、または同程度されている。だが、なかにはより重症化した患者もいる。つまり、臨床医たちは今のところ、明確なパターンを確認していないということだ。

再感染の可能性があるということは、パンデミックの今後にどのような意味を持つのだろうか。また、現在開発中のワクチンの有効性には、どのような影響を及ぼすのだろうか。現段階では、どちらも明らかではない。

開発され、承認された新型コロナウイルスのワクチンが利用可能になったとしても、それは毎年一度、受けるべきものになるかもしれない。ワクチンの開発者は今後、毎年流行する型が異なるインフルエンザウイルスと同じように、複数のSARS-CoV-2株に対応しつつ、継続的にワクチンを調整していくことになるのかもしれない。

一度SARS-CoV-2に感染し、Covid-19にかかった人は、自分にはすでに免疫ができており、再び感染することからは守られていると思っているかもしれない。だが、必ずしもそうとは限らない。

現在のところ、2度目の感染をした人はまだ少数であるものの、再感染のリスクは、当初考えられていたより高いとみられる。ジョンソン首相のように、安全を期して、警戒を怠らない態度を維持していく必要があるだろう。

編集=木内涼子

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