日本人のハンコに対する感覚
ハンコ文化はこれまで多くの会社で課題となっていた。わざわざ捺印するために出社せざるをえない人がいたことで、コロナ禍において「非現実的」と批判された。その流れから、各社「脱ハンコ」が推し進められるかたちとなった。実印や三文判、また、出先で急遽購入した安価なハンコなど、ビジネスマンの引き出しをあけたら、様々なタイプのハンコが並んでいるに違いない。特に親世代から譲り受けたハンコは大切に持っていることだろう。
そんなハンコが不要になるなか、「神社にハンコが集まっている」という話も聞こえてくる。世界遺産の一つである下鴨神社(京都)では、不要なハンコを供養する「印章祈願祭」を毎年9月に実施。ここに多くのハンコが集まるのだ。ハンコが不要と言えども、そう簡単には捨てることができない。「神社で供養をする」という日本人の心が見えるシーンだ。
また、日本には、「花押(かおう)」という名前をデザイン化する文化が平安時代の頃からあった。これは、署名の代わりに使われる記号・符号で、自分の名前の一文字を崩してサインしていたもの。ただ、そこから意匠化され、デザインされたものがうまれるようになった。戦国武将たちも花押を持っていたとされており、源頼朝は「頼朝」の二文字の部首のうち「束」「月」を合体させて花押を、足利尊氏も「尊」と「氏」を合体させたものを使っていたそうだ。古くから名前をデザイン化し、自著のサインとして使っていたのだ。
「脱ハンコ」時代だからこそ大切にしたもの
「脱ハンコ」のいまの時代においても、「自分のオリジナル性の高いハンコを持っていたい」という価値観は強く残っているようだ。グラフィカルでスタイリッシュなデザインはんこ・印鑑・ネーム印の「OOiNN(オーイン)」が人気だ。
日本で最も多い苗字「佐藤」のデザイン