米国で最近実施された各種世論調査で、ドナルド・トランプ大統領の支持率が低下していることが示された。背景には、同大統領の関税政策が物価に及ぼす影響に対する国民の懸念があるようだ。
各種世論調査からは、米国民の多くがトランプ大統領の関税政策に不満を抱いていることが浮き彫りになった。英経済誌エコノミストと英調査会社ユーガブが4月5~8日にかけて米国人を対象に行った世論調査では、トランプ大統領の対外貿易政策に賛成する回答者が39%、反対は50%だった。米CBSテレビとユーガブが4月8~11日に米国で実施した世論調査では、トランプ大統領が新たに課した関税に対し、回答者の42%が賛成、58%が反対した。英ロイター通信と仏調査会社イプソスが4月4〜6日に米国で行った世論調査では、トランプ大統領が定めた10%の最低関税率に、回答者の39%が賛成、57%が反対だと答えた。
米国民の懸念の中心は、関税の影響による物価上昇にあるようだ。エコノミストとユーガブの調査では77%、ロイター通信とイプソスの調査では73%の回答者が、関税によって物価が上昇すると予想していた。
トランプ大統領の関税政策を巡っては、特に短期的な経済への影響を懸念する回答者が目立った。米キニピアック大学が4月3~7日に同国の有権者を対象に実施した世論調査では、関税が短期的に米経済に悪影響を与えると考える回答者は72%、長期的に悪影響を与えると考えている割合は53%だった。エコノミストとユーガブの調査では、関税は短期的には経済的痛みをもたらすかもしれないが、長期的には経済成長につながると答えたのは37%だった。一方、関税は国家経済と消費者に悪影響を与えるだけで、長期的な利益はないと答えた回答者は48%に上った。
CBSテレビとユーガブの世論調査では、回答者の59%がトランプ大統領は他国との交渉のみに関税を利用し、後に撤廃するだろうと考えていた。一方、41%は、同大統領は関税を恒久的に維持するだろうとみていた。