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2025.04.12 10:00

「トランプ不況」が心配? 不安に振り回されないためのアドバイス

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寄る辺ない気持ちに苛まれているときに仕事に集中するのは難しい。近頃は、ありとあらゆるところに混乱と変化が待ち伏せているように思える。関税によって産業界は紛糾し、株式市場は乱高下し、整理解雇される労働者は増える一方だ。さまざまな出来事が同時多発的に重なって、働く人々の間に重苦しい無力感が蔓延している。

経済の不確実性、世界的な貿易摩擦、家計の負担など、何もかもが負のスパイラルに陥っているという感覚は、パニックや不安の引き金になる。困難な状況にあっても平静を保つためにできる実践的な方法を紹介しよう。

打ちのめされたように感じるのは当然だ。関税に政治論争、米連邦職員の解雇、物価高から株価の暴落まで、ニュースの見出しにはショッキングな言葉ばかりが躍っている。あなただけではない。米国心理学会(APA)が2023年に行った調査では、働く人の62%が景気後退時には不安が高まると回答しており、その最大の原因は不確実性だった。

だが、世界中が荒波に揺さぶられているとしても、あなたまでもみくちゃになる必要はない。自分の手綱を握り、他者に寄り添い、わが身を大切にすることで、関税や大荒れの株式市場、不確実な雇用市場にも冴えた頭で冷静に立ち向かえる。

何が起きているのかを捉え直す

大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)が貿易政策に関する2025年版報告書で引用した英オックスフォード・エコノミクスの経済モデルによると、米国の輸入関税は今年初めの時点で平均16.5%に上昇し、家計負担は年間推定1900ドル(約28万円)増、国内総生産(GDP)は0.7~0.8%減と見込まれていた。その後、S&P500種株価指数はわずか6週間で10%超下落し、数兆ドルの価値が消失した。関税に関する全米経済研究所(NBER)の過去データに基づく予測では、貿易戦争によって雇用喪失の懸念は膨らんでいる。

まず、何が起きているのかを捉え直そう。恐怖、不満、不安など、感じていることに名前をつけ、判断を交えずに受け入れるのだ。経済サイクルは混乱の極みにあるが、それは今に始まったことではない。全米経済研究所によれば、米国では第二次世界大戦以降に13回の景気後退が起こり、そのたびに市場は回復している。

このように状況を捉え直し、今起きていることを永続的な破綻ではなく一時的な嵐とみなせば、ストレスを最大30%軽減できるとの研究結果が2022年に学術誌Journal of Cognitive Behavioral Therapyに掲載されている。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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