個人向け融資を行うフィンテックの大手、SoFi(ソーファイ)、Affirm(アファーム)、Upstart(アップスタート)の3社の株価は、トランプ米大統領が相互関税を発表した4月2日から8日にかけて20%以上も下落した。この下落幅は、他のカテゴリのフィンテック企業を大きく上回り、同期間におけるS&P500種株価指数の値下がり幅の約2倍となっている。
「消費者が関税で大きな打撃を受ける可能性が高まったことで、市場は貸し手が最初に打撃を受けると予測している」と、みずほセキュリティーズのシニアアナリストであるダン・ドレフは述べている。JPモルガンは、4日に景気後退入りの可能性を40%から60%に引き上げた。
SoFiは、2011年に設立され、学生ローン事業からスタートしたサンフランシスコを拠点とするフィンテック企業だ。その株価は、2日から8日にかけて23%下落した。同社は過去2年間で個人ローン事業を急拡大しており、貸出残高は2022年末の86億ドル(約1兆2600億円)から、昨年末には175億ドル(約2兆5300億円)に増加した。
フィンテック企業のリスク
調査企業Compass Point Researchのジュリアーノ・ボローニャは、「SoFiは、より積極的かつ急速に成長を続け、他社を凌駕するためにマーケティング費用を増加させている」と語り、SoFi株を売り評価としている。投資家は、急成長する企業ほど景気悪化時に損失が拡大すると考える傾向がある。KBWのシニアリサーチアナリスト、ティム・スウィッツァーは、SoFiの貸倒率が1%増加した場合、収益が約2億ドル(約290億円)減少する可能性があると試算した。
BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)と呼ばれる後払い決済サービスの大手Affirmの株価も2日以降に24%下落した。同社は、最も急成長している個人融資のフィンテック企業の1つで、2024年12月までの四半期の総取扱高は前年同期比で35%増の101億ドル(約1兆4800億円)に達していた。
ボローニャによれば、投資家は景気後退がAffirmの成長を鈍化させるのではないかと懸念しているという。しかし、彼は直近の市場の反応に同意しておらず、Affirmが貸出額に対する営業・マーケティングコストの比率を下げており、他の個人ローン会社と比べてリピート顧客による利益が大きいと指摘している。