アマゾンの創業者で会長のジェフ・ベゾスは、世界で最も裕福な小売業者として、トランプ米大統領との関係を慎重に築いてきた。ベゾスは、昨年の大統領選の期間中からトランプにすり寄る姿勢を見せ始め、当選後のトランプにX(旧ツイッター)で祝意を表し、アマゾンが寄付を行った就任式にも出席した。
しかし、トランプ政権が4月2日に貿易相手国への相互関税を発表した直後の市場で、アマゾンは明らかに「敗者」に見える。世界最大のオンライン小売業者である同社は、中国製品に大きく依存している。アマゾンの株価は3日の市場で、ナスダックの下落率である6%を上回る9%の急落となり、世界第2位の富豪であるベゾスの保有資産は約160億ドル(約2兆3300億円)減少した。
関税が、中国からの輸入品を中心にあらゆる物のコストを押し上げることは明らかだ。「関税は、誰にとっても良くないし、もちろんアマゾンにとっても良くない」と、DAデビットソンのアナリストを務めるギル・ルリアは言う。
最も打撃を受けるのは、アマゾンが中国からの輸入に依存している電子機器やアパレル、家庭用品などだと専門家は述べている。中でもアパレルは、アマゾンの小売収入の推定10~15%を占めるとされ、特に影響を受ける可能性がある。アマゾンは、米国外から調達している商品の割合を公表していないが、フォーブスが話を聞いたアナリストの推計では、その割合は40%から70%にのぼり、大半が中国からだという。
だが、救いとなる側面もある。フォーブスが話を聞いた4人のアナリストのうちの3人は、「これらの関税が続けば、アマゾンが競争上の優位を得る可能性がある」と述べた。