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2025.04.08 08:00

アマゾン株は「投資の好機」、株式アナリストが主張する理由

2025年1月20日、ドナルド・トランプ米大統領の就任式に出席したジェフ・ベゾス(写真中央)Photo by Saul Loeb-Pool/Getty Images

アマゾンの強み

「今回の関税はアマゾンだけを狙ったものではなく、グローバルなものだ。つまり他の企業もアマゾンと同様の圧力に直面することになる」と、Citizens Capital Markets and Advisoryの株式調査アナリスト、ニコラス・ジョーンズは言う。「コストは上がるかもしれないが、それでも消費者はアマゾンを利用するだろう。それは、彼らが明日には配達してくれるからだ。アマゾンには利便性という強みがある」

さらに、アマゾンにはどう対応するかを選べるという強みがある。DAデビットソンのルリアによれば、アマゾンには3つの選択肢があるという。つまり、「消費者向けの価格を引き上げる」、「すでに低い仕入先のマージンをさらに削る」、あるいは「直近で約9%とされる自社の利益率を削って関税分を吸収する」の3つだ。

ルリアは、アマゾンが主に前者の2つを用いると見ているが、「関税がすぐに撤回される」とアマゾンが考えた場合は、一部のカテゴリで「一時的に自社でコストを吸収する可能性もある」と述べている。ただし、フィリップ証券のアナリストであるヘレナ・ワンによれば、関税が長期化すれば「売り手と消費者の両方がその負担を被ることになる」という。

そして時間の経過とともに、消費者と販売業者がコストを吸収するようになれば、アマゾンが有利に立つ可能性もある。「アマゾンの商品が高くなったとしても、ウォルマートなどの他の店で同じものが安く買えるとは限らない」と、Citizensのジョーンズは言う。「これらの商品は同じ場所から来ている」

また、ピボタル・リサーチ・グループのジェフリー・ウロダルチャックによれば、「アマゾンは物流ネットワークや代替サプライヤーの確保において他社よりも優れており、競合と比べても相対的に有利な立場にある」という。ルリアによると、アマゾンの顧客層は競合よりも分散されており、関税の影響が特定のグループに集中した場合にも、耐性がある

さらに、アマゾンには強固なバランスシートがあり、それが関税の影響を吸収する力となる。これは、高い利益率を誇るクラウドサービスのAWSによるところが大きい。AWSは2024年のアマゾンの売上全体の17%を占めた一方で、営業利益の60%を生み出しており、関税の影響を受ける可能性は低い。

アマゾンはAIチップの一部をカナダとイスラエルで製造しているが、「仮に対応が必要となった場合は、チップの製造数を減らし、データセンターへの投資を抑制する可能性がある」とDAデビットソンのルリアは指摘した。

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編集=上田裕資

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