北米

2025.04.08 11:30

米関税「一時停止検討」の誤報で市場に混乱、ホワイトハウスは否定

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

米政府は4月7日、トランプ米大統領が広範囲にわたる相互関税を90日間停止することを検討しているという誤解に基づくニュースを、「フェイクニュース」だと否定した。

米国の一部メディアは7日、国家経済会議(NEC)ディレクターのケビン・ハセットがFOXニュースの番組で、トランプ大統領が中国を除く全ての国に対する関税を90日間停止することを検討していると述べたと報じた。これに対し、ホワイトハウスの報道官キャロライン・レビィットは、この発言を引用した報道は「フェイクニュース」だと否定した。

ハセットはインタビュー中に、トランプが「関税措置の発動を90日間一時停止する可能性があるか」と問われた際に、「大統領が何を決定するかは、大統領自身が決めることだと思う」と回答した。彼のこの発言は、X(旧ツイッター)上で誤って解釈され、一部のユーザーが「ハセットがトランプが関税の一時停止を検討することを認めた」と主張したことで、その主張を引用した報道が出回った。

この報道を受けて、米国の株価指数は一時的に上昇し、S&P500は30分間で6%以上上昇したが、ホワイトハウスが報道を否定すると再び下落した。

トランプは7日のトゥルースソーシャルの投稿で、「米国には何十年も前にやるべきだったことを実行するチャンスがある」と述べ、米国民に対して「弱く」または「愚か」にならず、「忍耐強くあれ」と呼びかけた。彼はまた、「偉大さがその結果として得られる」と主張した。

トランプは原油価格が下落したことを「関税がもたらした勝利」と称し、連邦準備制度理事会(FRB)に対して利下げを求めたが、「インフレはない」という誤った主張を行った。エコノミストや政策当局者は、関税によりインフレは悪化すると指摘しており、インフレ率はFRBの2%の目標を依然として上回っている。

「人々はいつか、関税が米国にとってとても素晴らしいものであると気づくだろう!」とトランプは6日の投稿で述べ、中国や欧州連合(EU)などとの間の巨額の財政赤字が関税によって「解決される」と主張した。

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編集=上田裕資

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