北米

2025.04.04 10:00

トランプ不況を警戒する米消費者、「旅行支出」の減少が鮮明に

Shutterstock.com

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米国の旅行業界は2年連続で成長してきたが、トランプ大統領の関税政策の影響で消費者心理が冷え込む中、航空券やホテルなどの旅行関連支出の減少が始まった。

ブルームバーグ・セカンド・メジャーのデータによると、2月の米国消費者による航空券とホテルへの支出額は前年同月比でそれぞれ10%と6%減少した。レストランへの支出も3.5%減少した。今年の年初から3月24日までのすべての週ごとの航空券およびホテルへの支出は、前年の同じ週から減少したことをブルームバーグのデータは示している。

さらに、バンク・オブ・アメリカ・インスティテュートが3月31日に発表した報告によれば、今年の年初から3月22日までの期間におけるクレジットカードによる宿泊および旅行関連のサービスへの支出額は、前年同期比で約2.5%減少し、航空機を用いた旅行への支出は約6%減少していた。

米国の主要な航空会社は先日、国内線の需要減少と消費者心理の低下を理由に業績予測を下方修正した。英ヴァージン・アトランティック航空のCFOを務めるオリ・バイヤーズは、ロイターに対し、「ここ数週間、米国からの需要が減速している兆候が見られる。これは、消費者の不確実性に対する自然な反応だと考えられる」と語った。

歴史的に見て、消費者の経済への信頼感が低下すると、休暇のような裁量的支出が減少する傾向がある。バンク・オブ・アメリカ・インスティテュートの上級エコノミストで今回の報告の執筆者であるデビッド・ティンズリーは、「結局のところ、旅行に使うお金は年間で最も大きな支出項目のひとつであり、また、経済に不安を感じたときに真っ先に削ることができる支出でもある」とフォーブスに語った。

エコノミストは、この状況の早急な改善が見込めないとしている。ムーディーズ・アナリティクスのスコット・ホイトは、「今起きていることは、裁量的支出の鈍化というトレンドの始まりだと考えている。支出の伸びが減速する時には、裁量的支出がまず最初に打撃を受ける」と述べている。

海外からのインバウンドも減少

米国旅行協会によると、2024年に旅行者が米国で直接消費した金額は1兆3000億ドル(約190兆円)だった。ここから生じた経済効果は、2兆9000億ドルで、1500万人以上の米国人の雇用を支えたと同協会は述べている。同協会は、今年1月初めの時点では、2025年の旅行支出が3.9%増加して1兆3500億ドルに達すると予測していた。

ムーディーズのホイトは、このトレンドがトランプ大統領の関税が本格的に発動されれば、さらに悪化すると考えている。「関税は物価を押し上げる。消費者の信頼感は低下しており、ここ数年のような資産の上昇も見られなくなっている」と彼は語った。

米国へのインバウンド旅行も減少しているが、それは別の理由によるものだ。トランプ政権の関税と外国人に対する排斥的なスタンスが、「海外からの旅行客を遠ざけている」とトラベル・エコノミクス社長のアダム・サックスはフォーブスに語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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