米ウィスコンシン州で1日に行われた州最高裁判事の補欠選挙で、起業家のイーロン・マスクが支持する保守派のブラッド・シメル判事を破り、リベラル派のスーザン・クロフォード判事が勝利した。両陣営合わせて1億ドル(約150億円)近い資金が注ぎ込まれた全米で最も高額な州最高裁選挙は、4対3でリベラル派が優勢を維持する結果となった。
AP通信は米東部時間2日午後10時16分(日本時間3日午後12時16分)に、クロフォード判事の勝利を報じた。開票率71%の時点でシメル判事の得票率は44.3%、クロフォード判事は55.7%だった。
クロフォード判事の勝利により、ウィスコンシン州最高裁は少なくとも2028年までリベラル派が4対3で優勢を維持する。
AP通信によると、シメル判事が敗北宣言を行うと支持者からは「不正だ、不正だ」とのシュプレヒコールが上がったが、判事は「そうではない。結果を受け入れなければならない 」と告げ、静かにさせたという。
マスクは選挙にどう関与し、どれだけの資金を投入したのか
ウィスコンシン州最高裁の補欠選挙は、共和党と民主党の代理戦争として注目を浴びていた。シメル判事はドナルド・トランプ大統領とマスクに支持され、クロフォード判事はバラク・オバマ元大統領の支持を受けた。
マスクはここ数週間、シメルの選挙活動に深く関与し、30日の選挙集会では有権者2人にそれぞれ100万ドル(約1億5000万円)の小切手を贈って物議を醸した。集会では集まった人々に向かって「これから48時間、みんな死に物狂いであらゆるところに動員をかけなければならない」「これは文明の未来にとって重要なことだと思う。それほど重要なことなのだ」などと訴えた。
ニューヨーク大学ブレナン司法センターは、州当局への提出資料に基づき、マスクの関連団体がシメルの選挙応援資金として少なくとも1820万ドル(約27億4000万円)を費やしたと報告した。
これには、マスクが立ち上げた政治資金団体「アメリカPAC」からの1226万ドル(約18億4000万円)と、やはりマスクが献金を行っている保守系政治団体「ビルディング・アメリカズ・フューチャー」からの590万ドル(約8億8500万円)が含まれる。さらにマスクはシメル支持を表明した共和党ウィスコンシン州本部にも300万ドル(約4億5000万円)を寄付している。