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2025.04.15 09:00

トランプ関税で米国から逃げ出す資本 株式市場は主役交替か、米偏重投資にリスク

Shutterstock.com

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ドナルド・トランプ米大統領は4月8日、全国共和党下院委員会(NRCC)の夕食会で行ったスピーチで、自身の強硬な関税政策を擁護してはばからなかった。「各国がわれわれに電話をかけてきて、わたしに媚を売りにきている。彼らは必死になってディールしたがっているんだ」と、下品な表現を交えて外国の首脳らをあざけった。

いつもながらのトランプの虚勢である。

たとえ読者が筋金入りのMAGA(「米国を再び偉大に」)派であっても、米国外に住む多くの人がトランプに不満を抱いているということは認識しておいたほうがいい。世界の対米感情は変化しつつあるように見える。筆者が何を言わんとしているかは、海外メディアに掲載されている論説をほんの数本読むだけでもわかるだろう。

今年1月、外国の中央銀行による米国株の売越額は280億ドル(約4兆円)に達した。チャートで見ると明らかだが、これはトレンドのかなり劇的な変化である。

外国資本がすでに1月時点で米国から足早に逃避していたというのは興味深いし、いささか気がかりでもある。留意しておくべきは、これはトランプがカメラを通じて世界の面前でウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領に恥をかかせる「前」、トランプがホワイトハウスのローズガーデンで苛烈な関税率を発表する「前」の話だということだ。

トランプは、より孤立主義的な米国を実現するという選挙公約を実行に移している。だが、その意図しない結果として、米国から世界のほかの国への広範なリパトリエーション(資金還流)が起こるおそれがある。これは大方の投資家にとって、十分な備えができていないリスクだ。

株式市場のリーダー交替サイクル

あるひとつの国の株式市場のパフォーマンスが永遠にほかを上回るということはない。米国株は非常に長い間、米国を除く世界株をアウトパフォームしてきたが、今年は転換点になりそうだ。

2010年以降、米国株のアウトパフォーム幅は驚異的だった。平均回帰が起こるときはいつも、下落幅がかなり大きくなる可能性がある。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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