ウォール街の株価は、トランプ米大統領が米国時間4月2日に100年以上ぶりの厳しい関税政策を発表して以降に不安定な動きを続けている。大統領がその後、厳しい関税措置の多くを一時停止すると発表した後も、大半の銘柄は下落している。ただし、一部の銘柄は例外的に上昇した。
トランプが2日に「解放の日」と銘打った関税政策を発表してから11日までの間にS&P500種株価指数は、2008年以降で最大の日次上昇率と、2020年以降で最悪の日次下落率の両方を記録した。その結果、S&P500は11日までの7営業日で5%以上下落した。
ファクトセットによると、この期間中にS&P500の構成銘柄の約90%にあたる450銘柄が下落しており、景気後退や国際貿易をめぐる懸念が多くの企業の重荷となっている。
株価が上昇した50銘柄の上位にはヘルスケア関連株が多く並んだ。中でも米最大の健康保険会社ユナイテッドヘルス・グループの株価は、来年度のメディケア・アドバンテージに対する政府支出が予想以上に増額されたことで、15%上昇してトップとなった。同業のエレバンス・ヘルスの株価も2日以降に3%上昇し、CVSヘルスも2%高を記録した
ヘルスケア以外で上昇した30数種の銘柄の中には、景気後退や対外政策の不透明さの中でも、持ちこたえる力が強いとみなされる企業が並んでいる。2日から11日にかけて株価が上昇した銘柄には、ディスカウント小売大手のロス・ストアーズ(8%高)やT.J.マックスの親会社であるTJX(3%高)、ウォルマート(4%高)などが含まれる。
また、防衛関連ではジェネラル・ダイナミクス(1%高)やハンティントン・インガルス(6%高)、ロッキード・マーティン(5%高)、L3ハリス(5%高)、ノースロップ・グラマン(5%高)、パランティア(1%高)などが値を上げた。