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アジア

2025.04.11 11:30

米関税「一時停止」が、中国のアパレルや電子機器メーカーを救う可能性

Ying Tang/NurPhoto via Getty Images

Ying Tang/NurPhoto via Getty Images

トランプ政権が中国に対する関税を最大125%に引き上げたにもかかわらず、米国時間4月10日の市場で一部の中国の上場企業の株価が上昇した。投資家は、米国が中国以外の貿易相手国への「相互関税」を90日間停止したことで、中国企業がそれらの国々を経由して製品を米国に輸出できる可能性が高まったと考えている。

米国政府が発表した関税の一時停止は、ナイキやアディダスといった顧客を抱える中国のアパレルメーカーの「申洲国際(シェンゾウ・インターナショナル)」や、アップルのサプライヤーである電子機器メーカー「瑞声科技(AACテクノロジーズ)」にとって朗報になるとアナリストは述べている。香港市場に上場するこの2社の株価は、10日の終値でそれぞれ4.7%高と5.8%高を記録した。

トランプ政権が米国に対する報復関税を発動していない貿易相手国と交渉に応じる姿勢を示したことで、米国の株式市場は急騰し、日本や韓国を含む他のアジア市場でも楽観論が広がった。しかし、申洲国際やAACを含む一部の中国企業も、これらの関税の猶予措置の対象国に工場を構えて、米国の対中関税を回避している。

香港を拠点とするエバーブライト・セキュリティーズのストラテジストであるケニー・エンも、「状況は変わりつつある」と述べている。「投資家はこれまで、東南アジアに工場を持つ中国企業も関税の打撃を受けると考えていたが、今はその懸念が後退し、株価も持ち直している」と彼は指摘した。

マクロ経済の先行きは依然として不透明だが、投資家の間では、中国がトランプ政権による関税の影響を和らげるために景気刺激策を打ち出すという期待が根強い。さらに、トランプが中国へのこれ以上の関税の引き上げを行わないことを示唆したことで、米中間の合意への期待も再浮上している。

しかし、中国は米国の関税に対する報復措置として、米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると発表した。トランプは、中国側からの譲歩を待っているとの見方もあるが、上海にある調査会社、胡同リサーチのグオ・シャンは、「中国が先に動く可能性は非常に低い」と述べている。

その理由として彼は、中国側からのいかなる譲歩も「習近平が弱腰に見えるリスク」をともなうからだと説明した。


野村證券のアナリストは10日の調査ノートで、「中国政府は当面の間、国内の金融市場の安定を優先し、すでに計画されていた支援策の実施を加速させる可能性が高い」と述べたが、どのような支援策が具体的に検討されているかについては触れなかった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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