トランプ米大統領は4月9日、TikTokの禁止を避けるための合意が「まだ選択肢として残っている」と記者団に語った。この発言は、大統領が中国への関税引き上げを発表した直後のものだった。中国政府は、トランプ政権が貿易戦争を激化させたことを理由に、このアプリの売却に難色を示していると報じられている。
トランプは、合意は「前進している」と述べつつも、「中国はその合意に署名することにあまり乗り気ではない」と語った。これは、中国が関税の引き上げに反発したことを示唆したものとみられる。
TikTokは、6月中旬までに米国企業への売却または資産の分離を実施しない限り、米国内で禁止に直面することになる。
トランプは、9日に多くの国に対する関税を90日間猶予すると発表したが、中国はその対象外とし、関税率を125%に引き上げた。これは、中国政府がその前日に米国に対する報復関税を84%に引き上げたことを受けたものだ。
トランプはTikTokとの交渉について「非常に優れた人たちや非常に裕福な企業と取引を進めている」と述べたが、具体的な名前を明かさなかった。大統領はまた、米国は「中国がどう対応するかを見なければならない」と述べて、中国政府が北京拠点のバイトダンスが所有するTikTokのために、合意に応じることになると信じていると語った。
トランプ政権は、TikTokとの交渉に関与している米国企業を正式には明らかにしていないが、オラクルやマイクロソフト、アマゾンといった企業が出資候補として名乗りを上げている。『ポリティコ』によれば、オラクルはホワイトハウスと協議を行い、米国ユーザーのデータを中国から分離して管理する役割を担う可能性があるという。また、トランプはマイクロソフトがTikTokに関心を示していると述べている。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アマゾンもJ.D.ヴァンス副大統領らを含む政権の高官らに対し、正式な提案書を提出したという。
トランプ政権は、先週の4日の期限までにTikTokに関する合意を中国と結ぶことを目指していたが、その後、売却または禁止の可能性を残したまま、6月にその期限を再び延長した。
5日にAP通信を含む複数のメディアが報じたところによれば、交渉プロセスは順調に進んでいたものの、トランプ政権が中国に対する関税を発表した後、バイトダンスがホワイトハウスに対し、中国政府がこの交渉から撤退したことを伝えたという。トランプは6日の時点で記者団に対し「合意はほぼ成立しかけていたが、中国が関税のせいで内容を変更してきた」と話した。