北米

2025.04.12 11:00

関税合戦激化の中、中国政府高官が「ミーム」でトランプを揶揄

ドナルド・トランプ米大統領(Anna Moneymaker/Getty Images)

ドナルド・トランプ米大統領(Anna Moneymaker/Getty Images)

中国のSNSユーザーや一部の中国政府の高官までもが、生成AIを用いたミームを使ってトランプ米大統領を揶揄している。トランプ政権が中国からの輸入品に対して大幅な関税の引き上げを実施し、それに対する報復関税が発動されたことで、全面的な貿易戦争への懸念が高まっている。

中国外務省の毛寧報道官は4月10日のX(旧ツイッター)にトランプ政権を揶揄するミームを投稿した。このミームは、トランプの「MAGA(米国を再び偉大に)」の帽子の価格が50%以上も値上げして販売される様子を模様を描いたもので、トランプの関税政策への皮肉が込められている。

このミームの帽子には「メイドイン・チャイナ」のタグが付いているが、公式のMAGA帽は実際には米国内で製造されている。ただし、非公式の一部のコピー商品は中国で製造されている。

在米中国大使館の劉鵬宇報道官は、毛の投稿を受けてさらに攻勢をかけ、MAGA帽子の価格が100%以上急騰しているというミームを投稿した。このミームは、最初に中国のSNSアプリ「小紅書(Rednote)」のユーザーによって投稿されたものだという。

中国のSNSで拡散している生成AIによるミームの中には、米国人が工場で働く様子を描いたものもあり、トランプが掲げる米国の製造業の復興を皮肉っている。その中の1つの太った米国人が繊維工場で働く様子を描いた動画は、X上で約1820万回再生され、22万8000件以上のいいねを集めている。

また、多くの中国のSNSユーザーは、トランプが無人島であるハード島およびマクドナルド諸島に対して課した10%の関税を揶揄するミームも投稿している。これらのミームでは、ペンギンが遠隔の島々に課された関税に抗議している様子が描かれている。

中国は現在、トランプの関税政策における最大の標的となっており、トランプが9日に発表した中国以外の国に対する90日間の関税の一時停止措置の対象から除外されている。トランプ政権は、その代わりに中国に対しては関税を125%に引き上げた。これは中国が米国に対して報復関税を課したことへの対抗措置だと、トランプは説明している。

トランプの混乱した関税政策は世界の市場を動揺させ、ここ数年で最悪レベルの株式市場の下落を引き起こした。トランプは自らの関税政策を「米国の解放」と称しており、米国に関税を課す国々が「米国を世界貿易で食い物にしている」と非難した。

この関税政策は国際的な批判を招いただけでなく、米国内でも超党派の反発を引き起こしている。経済学者たちは、米国経済が景気後退に向かうとの懸念を表明している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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