3月25日、ソウルのグランドハイアットで「アジアのベストレストラン50」の授賞式が開催された。今年はタイ・バンコクの「Gaggan(ガガン)」が昨年から2つランクを上げ、見事に頂点の座に返り咲いた。
昨年ガガン・アナンドシェフは、バンコクのルイ・ヴィトンのショップに併設されるかたちで「Gaggan at Louis Vuitton」をオープン。この店自体も31位に初登場となったが、ニューオープンで露出が増えたことが本丸に再び脚光をあてる絶好のトリガーとなった部分もあると考えられる。
ベストレストラン50は、国・エリアごとに選出された評議員が、住んでいるエリアとそれ以外のエリアでそれぞれ毎年自分たちの思う(複数の)「ベストレストラン」に投票し、それを集計してランキングを発表する仕組みになっている。評議員がどのレストランに投票するかを決める際には、実際に訪れる機会が多かったりで、自分と同じ国籍のシェフのレストランに入れるという傾向も確かにある。
ガガンにおいても、レストラン自体の実力が伴っていることが大前提だが、バンコクの評議員に加えて、出身地インドの評議員も自国を代表するシェフとしてガガンに投票するケースが少なくなく、その構造が元々このランキングにおけるガガンの強さの背景のひとつとしてあり、新店オープンのタイミングで、目が向いた部分もあっただろう。

今年2位の「Chairman」、3位の「Wing」の2店はともに香港の中華料理でランキングの常連ではあるものの、こちらも香港の評議員に加え、メインランドの評議委員からの注目を集めることで、高い順位での評価を獲得した要素があったのではないかとも思われる。
昨年のディフェンディングチャンピオン、日本の「Sezanne」は4位に順位を落としたが、シェフのダニエル・カルバートは東京の前には香港の「Belon」にいて、香港時代にも高い支持を得ていたことから、日本に加えて香港の評議員から支持を得ることも強さのひとつになっているはずで、日本国内からランクインした11店の中では最高位を記録した。
こうした結果を見るに、ランキングにおいて上位に食い込むには、国をまたいで活躍していくことが年々重要な要素のひとつになっているのは間違いない。
東京からは続いて「Narisawa(ナリサワ)」が12位、「Florilège(フロリレージュ)」が17位、「Den(傳)」が22位とおなじみの店が続いた。