
注目すべきは「Crony(クローニー)」が昨年の58位からの躍進し、30位で初のトップ50入りを果たしたこと。さらに小澤一貴オーナーソムリエが「アジアのベスト・ソムリエ賞」に選出され、ダブル受賞という快挙となった。
アジアのベストレストラン50でソムリエがオーナーを務めている店自体が珍しいが、小澤氏のクオリティの高さが着実に認知されていき、取るべくして取った賞という印象が強い。クローニーは近年、アジアのさまざまな都市で著名レストランとのコラボレーションに注力していた。春田理宏シェフの繊細なエッセンスを重視したメニュー、そしてコースをさらなる高みに仕立てる絶妙なワインペアリングが評価された。
「もともと国内の常連のお客様が多かったのですが、日本のレストランの料理やサービスのクオリティが世界で通用すると示せたら、と以前から思っていました。コロナ前あたりから少しずつ取り組みを始め、アジアを中心に海外のレストランとのイベントなどに力を入れてきたことで、インバウンドのお客様の割合が増えてきたと実感しています。そのタイミングにベスト50入りを果たせて、光栄に思っています。
海外のイベントは若いスタッフも一緒に出張しますが、実際にこういう結果がついてくると彼らの働きがいの意味でも非常に価値のあるものですし、チームとして来年以降ここからまだ上の順位も目指していけるといいですね。それが最大の目標ということではなく、外にも目を向けてレストランをレベルアップさせていくプロセスを経た結果のひとつではあると思いますが」(クローニー オーナーソムリエ 小澤氏)
先日のドジャースのパーティへのケータリングでも話題になった鮨のレジェンド「Sushi Saito(鮨 さいとう)」は33位でトップ50に返り咲き、「Sazenka(茶禅華)」が34位にランクイン。
ほか、日本からは「Maz(マス)」が43位、「Myoujyaku(明寂)」が45位と初のトップ50入りを果たした。「Maz」は2023年に「World’s 50 Best Restaurants」の1位になったペルーの「Central(セントラル)」のブランチで、日本の食材を活かしつつ、ペルーが世界に誇るシグニチャーメニューを提供。「明寂」では中村英利料理長が、とことん水にこだわり、不必要な要素を削ぎ落として食材の魅力を引き出すシンプルな料理が高い評価を得ている。