『シャドウズ』が『ヴァルハラ』と同等のヒット作となることは、正直言って考えにくい。また、過去5年間で非常に多くのライブサービス型マルチプレイ作品が人気を集めており、シングルプレイ作品は数年に一度の秀作でもないかぎり、多くのプレイヤーを引き付けるのは難しいかもしれない。そして最近のUbisoft製ソフトは、『スター・ウォーズ 無法者たち』のような期待作でさえも売れ行きが伸び悩んできた。同社が1年余り前の2023年12月に『アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』をリリースしたことを覚えている人は、あまりいないのでないだろうか。
『シャドウズ』は、主人公2人のうちの一人に黒人の侍・弥助を起用したことなどで、「文化戦争」の矢面に立たされた。ネット上では、一連の論争によってマーケティング活動の影が薄くなるような状況も一部で生じている。とはいえ、発売が2025年に延期された後に公開されたゲーム映像などからは、同作が磨きこまれており、まだ期待できる内容であることもうかがえる。レビューはまもなく解禁されるが、Ubisoftは過去にゲーム・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ゲームソフト)の候補となるようなタイトルをあまり出しておらず、人気シリーズ作品はごく一部の例外を除き、レビューでの平均スコアが75~85の間で推移している。
もしかしたら『シャドウズ』は、ついに完璧なバランスを実現したシリーズ最高作品となるのかもしれないが、それはわからない。そうだとしても、前作から5年たったシリーズが持つブランド力はどれほどなのだろうか? Ubisoftは、同シリーズに今も人々を引き付ける力があることを願わざるを得ないだろう。