米HBOが制作するドラマ版『ハリー・ポッター』で、セブルス・スネイプ役に黒人俳優パーパ・エッシードゥが起用されつつあることが米エンタメサイト「デッドライン」の報道により明らかになり、一部で衝撃が広がっている。その理由はまず、原作のキャラクター設定と違い、エッシードゥがハンサムであること。そしてもう一つが、人種の違いだ。
人種の変更自体はさほど重要ではないように思えるかもしれないが、原作のストーリーを考えるといくつか問題が浮上する。例えば、少年時代のジェームズ・ポッター(白人)が、自分のガールフレンド(白人)といちゃついたという理由から、黒人のスネイプ少年を逆さまにつるしていじめるシーンは、明らかに問題だ。(※編集者注:米国ではかつて、白人が集団で黒人を暴行し、首をつるして殺害する事件が横行していたことから、こうしたシーンはその光景を想起させるものとなる)
しかし人々の関心はその後、ハーマイオニー役の行方にも向けられるようになった。今や、ハーマイオニーに黒人女優がキャスティングされるのは、当然の流れにも思える。ハリーが白人のままになることは間違いないし、ロン・ウィーズリーとその家族はおそらく赤毛の設定を保つだろう。そうすると、メインキャラ3人のうち、人種が変えられそうなのはハーマイオニーのみだ。原作では彼女が黒人だったという記述は全くなく、映画版でも白人のエマ・ワトソンが演じたわけなのだが、原作者のJ・K・ローリングは後に、ハーマイオニーが黒人だったこともあり得ると言明した。そして舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』ではついにこの設定が実現し、黒人女優のノーマ・ドゥメズウェニが大人になったハーマイオニー役を演じて、結果的に人種差別と嫌がらせの対象となってしまった。
