新型ドローン「SETH」
無視できない例外はいくつかあるものの、ウクライナのドローンは概してロシアのドローンよりも質が高く、ジャミング(電波妨害)に対する耐性も上回る。トレツク方面では、アゾフ旅団が新型ドローン「SETH(セス)」を使い始めた。プロペラ推進のセスは戦場の上空を徘徊し、ロシア軍の車両の特徴的な形状を読み取る。そして目標に自動で照準を合わせ、推定3〜5kgの弾頭で自爆攻撃を行う。
UAS SETH – the newest Ukrainian weapon of the 12th Azov Brigade. This strike drone system is easy to use, fully automated, and already hitting targets near Toretsk. Most importantly – it’s made in Ukraine. The first batch of UAS SETH was handed over to Azov fighters by the "Come… pic.twitter.com/h4yK6nP71X
— NOELREPORTS 🇪🇺 🇺🇦 (@NOELreports) March 10, 2025
セスは操縦士に映像を送信することも可能なようだが、そうする必要はないかもしれない。セスは、妨害電波に強いマルチチャンネルのGPS(全地球測位システム)受信機を搭載し、それによってナビゲーションを維持する。こうした自律性を備えるため、たんに撃ち落とす以外の方法では撃退が難しい。
トレツク方面のロシア軍はウクライナ側のドローンをかわそうと、攻撃するのに低速の戦車などでなくオートバイを使っているとも伝えられる。
疲弊と執拗なドローン攻撃という危険な組み合わせは、トレツクから南西へ約50kmのポクロウシクでもロシア軍が後退している理由だろう。もっとも、同様のダイナミクスは双方に当てはまる。クルスク州では、補給を脅かされ、ハイテクドローンの攻撃にさらされ、後退を強いられているのはウクライナ側だ。