ロシア西部クルスク州に展開している1万人規模のウクライナ軍部隊が窮地に陥っている。
ここ数週間、ロシア軍の精鋭のドローン(無人機)部隊がウクライナ軍の兵站を執拗に攻撃し、ウクライナ軍突出部の中心地であるスジャ町につながる幹線道路などで多数の車両を破壊していた。ウクライナ軍の「シベルシク」作戦戦術集団(OTG)の補給状況が悪化するのに乗じ、はるかに兵力の大きいロシア・北朝鮮軍部隊は反攻を強化した。
突出部の北端にいたウクライナ軍部隊はスジャへ撤退している。スジャでは、ロシア軍部隊が古いガスパイプラインの中を通ってウクライナ側の陣地に侵入することを試みたが、これはウクライナ側に撃退された。
突出部の北側からの後退は、ウクライナ軍がクルスク州から完全撤退する前段階になる可能性がある。
だが、ロシア軍はウクライナ空軍のMiG-29戦闘機による空爆などに動じず、比較的安全なウクライナ北部へのウクライナ軍部隊の退路を断とうとしている。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「敵はクルスク州内と国境沿いの橋を破壊し、シベルシクOTGがクルスク州からウクライナに出る動きを妨げようとしている」と警告している。
シベルシクOTGは、つい2月上旬にはクルスク州で前進を遂げていた。しかし、ロシア軍が投入した「ルビコン」先進無人技術センターのドローン部隊が形勢に大きな影響を与えたらしい。
独立系のアナリストのアンドルー・パーペチュアは「ルビコンは高度なドローン戦術を駆使している」と説明している。しかもそのFPV(一人称視点)自爆ドローンは、ウクライナ軍のジャミング(電波妨害)をかわして飛行できているようだ。
パーペチュアは2月25日に更新したマップで、スジャにつながる幹線道路で前日ごろにロシア軍によるドローン攻撃が数十回もあったことを記録していた。これは、ウクライナによる7カ月あまりにわたるクルスク侵攻の終わりの始まりを告げるものだったのかもしれない。「このマップを見た日から、クルスクについて心配し始めるべきだった」とパーペチュアは振り返っている。
If you follow my map, the day you saw this shoulda been the day you started worrying about Kursk. pic.twitter.com/KdeW8t5mVG
— Andrew Perpetua (@AndrewPerpetua) March 9, 2025