欧州

2025.03.02 10:00

ウクライナ空軍のF-16が徐々に前方に ジャマーで防御しながら対地攻撃

ウクライナ上空を飛行するウクライナ空軍のF-16戦闘機。2024年8月4日撮影(Vitalii Nosach/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ上空を飛行するウクライナ空軍のF-16戦闘機。2024年8月4日撮影(Vitalii Nosach/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ空軍のF-16戦闘機は、ロシア軍の巡航ミサイルやドローン(無人機)の迎撃という比較的安全な任務から一歩踏み出し、1300km近くにわたる前線のロシア軍部隊に対する攻撃任務も徐々にこなし始めているようだ。欧州諸国から供与されているこれらのF-16は、ウクライナ空軍が保有する最も高性能な空対空ミサイルや精密誘導爆弾、対レーダー用ジャマー(電波妨害装置)を搭載する。

ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから3年たつなか、最も危険な戦域である東部を含め、ウクライナの上空をF-16が飛行する様子とされる写真や動画の投稿がソーシャルメディアで増えている。防空任務のため、AIM-9サイドワインダー赤外線誘導空対空ミサイルとAIM-120AMRAAM(アムラーム)レーダー誘導空対空ミサイルを各2発、さらに主翼下と胴体下に追加燃料のドロップタンク(落下増槽)3個を装備した姿も目撃されている。

もっと危険な爆撃任務用の装備をしたF-16の画像もある。空対空ミサイル4発とドロップタンク2個のほかに、主翼下のパイロン2基に重量約130kgのGBU-39小直径爆弾(SDB)を計8発、胴体下にAN/ALQ-131レーダー妨害装置(ECM)ポッドを装備したものだ。

単座の超音速機であるF-16は後者の装備構成によって、ロシア軍のレーダーや地対空ミサイルシステムを探知・妨害しながら、数十km離れた空中あるいは地上の目標と交戦できる。親ウクライナの調査分析グループ、コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)はこうした装備のF-16について、高度なミサイル警戒技術を備えた「空飛ぶ防空システム」として機能すると評している

AN/ALQ-131は、ウクライナ空軍が新たに獲得した非常に重要な能力だ。ロシアが全面戦争に乗り出した2022年2月当時、ウクライナ空軍は航空機搭載型のジャマーをほとんど持っていなかった。そのため、ウクライナ空軍機は戦争初期にロシア軍の激しいミサイル攻撃に無防備にさらされ、多大な損害を出すことになった。ウクライナ空軍のジェット機の損害はこれまでに100機ほどにのぼるが、多くは全面侵攻の開始直後の混沌とした数週間に失われている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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