健康

2025.03.09 11:15

乳児の寝かしつけをアプリで解決 動物的本能を利用

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子どもを持つ人なら、乳児の寝かしつけに困った経験があるはずだ。抱っこしていれば静かになって寝そうになるのに、ベッドに置くとまた泣き始める。とくに初めての子どもの場合、親はどうしていいかわからず心身ともに困ぱいしてしまう。そんなお父さんお母さんの味方が登場した。東京科学大学(旧東京工業大学)が開発した、科学的な根拠に基づく寝かしつけアプリ「SciBaby」(サイベビー)だ。

SciBabyは、脈拍センサーと連携することで乳児の生理的状態を可視化するスマートフォンアプリ。赤ちゃんに腕時計型光学式脈拍センサーを装着してアプリの「抱き歩きモード」を起動すると、歩きやすいテンポの音楽が流れ、5〜10分間の抱き歩きを指示される。その後8分間、赤ちゃんを抱いたまま静かに座り、アプリからの合図でベッドに寝かせる。

その行動が効果的である根拠は、SciBabyを開発した東京科学大学生命理工学院の黒田研究室(黒田公美教授)が2013年に発表した「輸送反応」にある。親が乳児を抱っこして歩くとおとなしくなる現象を説明したものだ。野生動物は、子どもを口にくわえるなどして運ぶことがある。それは外敵から逃げるときに多く見られるが、そのとき子どもは敵の注意を引かないよう声を立てずおとなしくなる。人間の赤ちゃんも、抱っこして歩くと自然におとなしくなるのは「輸送反応」によるものだ。

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文 = 金井哲夫

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