働き方

2024.11.24 11:15

年収の壁よりも大きな「時間の壁」 やがて男性の問題にも

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パートタイマーの働き方に制限を加えている年収の壁を引き上げ、または撤廃せよとの論調が強まっている。企業は、非正規従業員が年収103万円を超えないように勤務を制限するために、実質的な人手不足に陥っている。そこでは昇給やボーナスによるインセンティブは通用しない。では年収の壁がなくなれば、そうした問題は一気に解決するのだろうか。

主婦と主夫の本音を探る情報機関「しゅふJOB総研」は、家庭と仕事を両立させたい人たちを対象に「望ましい雇用形態」に関するアンケート調査を実施した(有効回答数460件)。それによると、現状で望ましい雇用形態は、「短時間非正規社員」が34.5パーセントともっとも多く、続いて短時間正社員(25.9パーセント)となった。およそ6割が「短時間」を望んでいる。

これに対して、もし家庭の制約がなく仕事に専念できるとしたら、どんな雇用形態を望むかを尋ねると、フルタイム正規雇用が43.3パーセントとダントツのトップとなった。家のことがあるので正社員は無理という声も多いなか、「家事育児などを気にせず仕事に専念できるならずっと正社員で働きたかった」、「制約がないのであれば、最大に稼げる形態で働きたい」といった意見も聞かれる。

また、正社員は仕事の裁量を与えられるのでやりがいがあるが、会社に人生を左右されることになるため「働く以外の時間も必要」という人に代表されるように、自由な働き方を望む意見も多い。いずれにせよ働きたい意欲が高いことがわかる。

年収の壁がなくなったとしても、育児や介護といった家庭の重要な役割は、夫婦の非正規または収入が少ないほうに負わされるのが普通だ。JOB総研の研究顧問、川上敬太郎氏は、「収入制限による壁の前に、そもそも家事や育児、介護などに費やす時間制約の壁に阻害されて働き方の希望が二重構造になっている」とし、今は主夫よりも主婦が圧倒的に多い状態だが、夫婦間で家事をシェアするようになるほど、女性だけでなく男性の問題にもなってくると指摘している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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