3月17日、岸田首相はこども政策に関する会見で、「106万円、130万円の壁について、被用者が新たに106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取り組みの支援などをまず導入し、さらに制度の見直しに取り組みます」と発言。
女性の就労意欲を阻み、人手不足を助長するなどといった批判を受けてきた「年収の壁」問題に着手することを明らかにしたが、実際、パートタイムで働く人々は、どのように考えているのだろうか。求人サイト「しゅふJOB」を運営するビースタイルグループは4月8日〜16日、サービス登録者の主婦・主夫層755名を対象に、「年収の壁」に関する調査を実施した。
2022年の収入を上限内に収めるために、働く日数や時間などを抑える就業調整を行ったか、を尋ねると、「終業調整した」と答えた人の割合は6割超(64.8%)に。続けて「年収の壁」問題への対策として支持したいと思う案については、最多が「年収上限を撤廃する」(46.2%)。次いで「年収上限を上げる」(35.8%)、「収入の水準に合わせて段階的に金額を決めて給付する(※1)」(18.5%)、「フランスで導入されている、N分N乗方式(※2)」(17.5%)となった(複数回答)。
※1 質問の際、正確には右記のように記載「106万円から119万円では15万円を給付するなど、収入の水準に合わせて段階的に金額を決めて給付する」
※2 質問の際、正確には右記のように記載「フランスで導入されている、N分N乗方式(世帯構成人数に応じて負担額が決まる。子どもが多いほど負担額が減る仕組み)」
さらに、もし制度が変わって年収上限が撤廃されたら、どれくらいの年収を希望するか、を聞くと、最多が現行制度では配偶者特別控除が満額ではなくなる年収150万円の壁を超えた、「151~200万円」で26.4%。続いて現行制度では自身で社会保険への加入が必要になる130万円の壁を超えた「131〜150万円」(23.6%)となり、131万円以上の年収を希望する人が7割超(74.8%)を占めた。
また、もし年収上限が撤廃されたら転職したいか、については「転職したい」派が6割近くに上り(転職したい:26.9%、どちらかと言えば転職したい:29.5%)、どのような仕事に転職したいか、については「今の仕事よりも、時給が高い仕事」が72.1%で、他の答えを大きく引き離した(複数回答可)。
回答者からは、「時給が上がるのに、扶養枠も上がらないのはおかしい。時給が上がるとすぐに扶養上限額を越えてしまうので、ただでさえ短時間パートなのに時間を減らすか勤務日数を減らすかしなければならない。正社員やフルタイムのパートさんに負担がかかって申し訳なく、働きにくくなる」(40代:今は働いていない)「転職して、年収120万なのに会社の規模が大きいため、扶養から外れて厚生年金等支払うことになり、以前より手取りが減りました。早くこの制度の見直しを希望します」(50代:派遣社員)などと、制度の改正を求める声が。
一方で、「扶養内で働いてる人はそれほど働く時間も体力もない人だと思うので、今のままでいいと思います」(30代:パート/アルバイト)「上限が撤廃されると、フットワークが重い多子世帯はパート探しに苦労するのではないかと思う(企業はより長時間働いてくれる人材が欲しいから)」(40代:パート/アルバイト)などと、現行制度のままでいいという方向性の意見も散見された。
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