中国警察が米ベイン社の上海事務所を家宅捜索、IT機器を押収

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英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は4月26日、中国の警察が米国の大手コンサルティング企業ベイン・アンド・カンパニーの上海事務所を家宅捜索し、従業員に事情聴取を行ったと報じた。

ベイン社はフォーブスに送付したEメールの声明で、中国当局が同社の上海オフィスのスタッフに尋問を行ったことが事実であり、当局の調査に協力していると述べた。同社は「現時点ではこれ以上のコメントはない」としている。

FTは、事情に詳しい6人の人物の証言を引用し、中国警察が2週間前にベイン社を突然訪問したと報じた。「警察はコンピュータと携帯電話を押収したが、社員を拘束することはなかった」と、この事件に関して説明を受けた2人の人物は述べている。また、3人の関係者は、警察が中国の金融センターにある同社のオフィスを複数回訪問したと証言した。

FTによると警察がベイン社を訪問した理由は不明で、彼らの調査がベイン社を対象にしたものなのか、同社のクライアントを対象にしたものなのかは定かではないという。

CNNによると、中国当局は3月23日、米国の信用調査会社ミンツ・グループ(Mintz Group)の北京事務所を家宅捜索し、中国人スタッフ5人を拘束した。ニューヨークを拠点とするミンツ社は、CNNの取材に、この件に関する正式な法的通知を受け取っておらず、当局に従業員の解放を要請したと述べていた。

中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は31日、情報インフラと国家のセキュリティ安全保障を守ることを目的に、米国の半導体大手マイクロン・テクノロジーが中国で販売している製品のサイバーセキュリティについて調査すると表明した。日本のアステラス製薬の社員も現在、反スパイ法に違反した疑いで、中国当局に拘束されていると報じられている。

中国当局は、米国が中国へのハイテク製品の輸出を制限していることや、米国が国家の安全保障を理由にファーウェイを含む中国のテクノロジー企業をブラックリストに載せていることを批判している。また、米中の緊張は、中国とロシアとの緊密な関係や中国のスパイ気球の疑惑、台湾をめぐる問題、TikTokのユーザーデータのセキュリティに対する懸念などによっても悪化している。

FTによると、最近中国で標的にされた米国企業は他にもあり、中国当局は先月、大手会計事務所デロイトに約2億元(約39億円)の罰金を科し、北京事務所を3カ月間の業務停止とした。また、中国の商務部は今月、米国の軍事サプライヤーであるレイセオンとロッキード・マーチンの幹部数名の入国を禁止し、中国企業のこの2社との取引を禁止した。

在中国米国商工会議所が26日発表した新たな調査結果でも、中国に拠点を置く米国企業の懸念が示された。米中関係に悲観的な米国企業は、回答者の約87%に達し、3月初旬に発表された調査結果の73%から悪化した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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