米国の総所得に占める中間層の割合は、1970年には62%だったが、2021年には42%にまで縮小した。一方で、高所得者層の保有する総所得の割合は同時期に29%から50%に増加。高所得者の人口は増えているとはいえ、中間層の半数に満たないにもかかわらずだ。
米調査機関Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)の報告書ではさらに、未婚女性や単身世帯が中間層に属する可能性が低いことも明らかになった。この報告書では、世帯収入が全米中央値の3分の2~2倍の人を中間層とみなしている。
低所得者層も、高所得者層よりもゆるやかながら拡大している。その結果、中間層は上下から圧迫され、直近では全米人口の50%を占めるにすぎない。低所得者層にのみみられる特に憂慮すべき傾向として、人口は増えているものの、総所得に占める割合は減少していることがある。1970年の時点ですでに総所得のわずか10%だった低所得者層の保有割合は、2021年には8%まで減少した。
黒人とラテン系の所得が増加
低所得者層に属する可能性は依然として黒人やラテン系の米国人のほうがはるかに高く、白人の24%に対して、それぞれ約40%に上っている。一方で報告書には、所得階層が最も上昇したのは黒人であり、ラテン系も穏やかに上昇していることが示されている。しかし、黒人の中間層は今のところ大きな拡大はみせていない。黒人の高所得者層はこの50年間で倍増しており、これが黒人全体の所得増加の一因となっているようだ。白人の低所得者層もこの半世紀で拡大したが、黒人やラテン系の低所得者層とくらべると依然としてはるかに小さい。人種に関係なく、米国で大きな下方移動を経験した人口集団は、高卒止まりや大学を卒業できなかった人など低学歴の人々だった。
(forbes.com 原文)