欧州

2025.03.01 10:00

ウクライナの軽飛行機改造ドローン、ロシア軍部隊への爆撃にも投入か

Sergei Lobkarev / Shutterstock.com

Sergei Lobkarev / Shutterstock.com

ウクライナの軽飛行機型ドローン(無人機)は以前はもっぱら、ロシア国内に数百km以上深く入って目標の施設に突っ込む自爆攻撃を行っていた。だがここへきて、もっと前線に近い場所でロシア軍の部隊に爆弾を落とす爆撃も始めたのかもしれない。

地上のロシア兵が自身の装備のサーマルイメージング(熱画像)カメラで撮影した映像には、ウクライナのA-22軽量スポーツ機改造型とみられるドローンが低空を飛行し、爆撃を行っているらしい様子が映っている。映像冒頭の轟音は、最大離陸重量450kgの同機からロシア軍の陣地に向けて投下された250kg爆弾の爆発音かもしれない。場所はウクライナ北部と国境を接するロシア西部ブリャンスク州と伝えられる。

ロシア側は急旋回するドローンに至近距離から発砲しているが、損傷を与えたようには見えない。

ロシア軍は通常、工場石油施設、後方の指揮所など、プロペラ推進のA-22型ドローンがよく攻撃している目標周辺に歩兵を配置していない。現時点では確認されていないが、空襲が行われた場所はロシアの対ウクライナ全面戦争の1300km近くにおよぶ前線の近くだった可能性がある。

もしそうだったとしても驚くような話ではない。ウクライナの産業界による大型ドローンの製造数は増え、性能も上がり、投入される範囲も広がっている。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領はこのほど、ウクライナが2024年に長距離攻撃ドローンを10万機生産したことを明らかにしたうえで、各種ドローンを「今年はもっとつくる」と語っている

A-22のような軽飛行機型とみられるウクライナのドローンは、目標にそのまま突っ込む自爆攻撃だけでなく、搭載する爆弾を投下して基地に帰還するのも可能なように改良されていることも、最近明らかになっていた。比較的近距離の攻撃には後者のような爆撃機としての運用が適しているだろう。ウクライナ軍の使い捨てのFPV(一人称視点)クワッドコプター(回転翼4つ)や、擲弾やその他の爆弾を投下するオクトコプター(同8つ)などの爆撃ドローンが普通、前線から8〜16kmくらいの範囲で使用されるのに対して、A-22ベースのような軽飛行機型はもっと遠方まで飛んで爆撃を行うことができる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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