こうしたドローンはロシア軍の連隊や師団、野戦軍の最も脆弱な場所、たとえば宿営地、車両置き場、補給物資の集積所などを狙えると考えられる。これらは接触線から数十km以上離れ、より小型のドローンでは到達できない地点に設けられているかもしれない。
ウクライナの戦力で本来、敵の行動制止を目的としたこうした空襲にいちばん向いているのは、有人の作戦機、具体的に挙げればMiG-29戦闘機、Su-24戦闘爆撃機、Su-25攻撃機、Su-27戦闘機、F-16戦闘機、ミラージュ2000戦闘機だろう。これらは目標から数十km離れた空域で精密誘導の滑空爆弾を投下し、迅速に離脱することが可能だ。
だが、ウクライナ空軍が保有するこれらの作戦機は125機かそこらにすぎず、あまりに多くの機体をあまりに早く失わないよう慎重を期す必要がある。ウクライナ空軍はこの3年で作戦機を100機ほどを失ったが、保管庫から引っ張り出して修復した旧ソ連製の機体や、西側の支援諸国から供与された機体でどうにか代替してきた。
とはいえ、ウクライナに残る古い旧ソ連製機の在庫には限りがあるし、欧州の支援諸国がウクライナに譲渡できるF-16やミラージュ2000の数もそれほど多くない。ほかに余剰の戦闘機をウクライナに供給できる可能性がある国は米国だけだが、現在の米国はウクライナにとって、よく言っても信頼できない支援国になっている。最悪の場合、ドナルド・トランプ大統領のもとでの米国はロシアに味方する危険すらある。
したがって、ウクライナが、1機数千万ドルする代替困難な有人ジェット機でなく、1機9万ドル(約1350万円)ほどのA-22を改造した無人プロペラ機を爆撃任務に送り込むのは理にかなっている。キーウに本社を置くアエロプラクト社は、A-22などを増産することも可能だろう。