皮肉にも、攻撃目標にされた工場で製造されているのもドローンだった。広大な「アラブガ経済特区」(編集注:アラブガはエラブガのタタール語での呼称)内にあるこの工場で組み立てられているのは、イランで設計された自爆ドローン「シャヘド」だ。弾頭のついたこのドローンも、ウクライナのセスナ型自作ドローンと同様に1000km前後は航続できる。
特区の敷地内に軽飛行機ドローンが突っ込む衝撃的な場面が、現場近くにいたロシア人らによって撮影されている。ドローンが激突した際には巨大な炎が上がり、搭載されていた爆薬の多さを物語っている。標準的なセスナ172の場合、最大で400kg強の荷物を載せて最長1200km弱航続できる。
ドローンは工場を直撃した可能性もあるが、工場からは少しそれて、隣接する従業員寮にぶつかった可能性もある。
Weeeeee!#Yelabuga dormitories. Definitely NOT a Ukrainian UJ-22 "Airbone" LRAUAV (Long Range Attack UAV).
I am working on and infographic...#OSINT #UkraineRussiaWar#UkraineWar#UkraineKrieg#Ukrainepic.twitter.com/6j5wSRK1Xf — OSINT (Uri) 🇺🇸 🇨🇦 🇬🇧 🇺🇦 🇮🇱 (@UKikaski) April 2, 2024
製油所に対する攻撃はロシアのガソリン生産量を一時、10%超落ち込ませた。もしウクライナが長距離ドローンによる攻撃作戦を続けていくことができれば、ロシア軍が使う最高の長距離ドローンであるシャヘドのロシア国内での生産にも打撃を与えられるかもしれない。
ウクライナが軽飛行機をドローンにつくり変えているらしいことについては、いまさら驚く人はいないだろう。
米空軍研究所(AFRL)も2019年、米ディザイン・テクノロジーズ(DZYNE Technologies)社と協力してセスナ206をドローンに改造している。AFRLの科学者アロク・ダスは当時「新たな無人機を開発するとなると、複雑なプロセスになり初期費用も発生するが、(セスナを遠隔操作の無人機に改造すれば)そうした負担もなく無人機のメリットを享受できる」と説明していた。