欧州

2024.03.27 08:30

ウクライナのドローン、前線から800km離れた製油所を攻撃 ロシアは防空に苦慮

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ウクライナのドローン(無人機)が23日未明、ロシア西部サマラ州の製油所を攻撃した。火災が発生し、同日朝まで続いた。ウクライナはロシア国内の石油関連施設に対する攻撃をエスカレートさせており、その最新の事例である今回の攻撃はこれまでで最も遠距離のものだった。

サマラ州はウクライナ東部の前線から800km以上も離れている。

ウクライナ国防省情報総局は、ロシア西部の製油所や石油貯蔵施設を過去1年で十数カ所攻撃した。今月中旬に行った3施設への攻撃では、ロシアの石油精製能力を一時12%低下させたと報じられている。

影響はロシア国内の燃料価格に及び、ガソリン価格は今月、半年ぶりの高値に急騰した。夏の旅行シーズンが近づくなか、政府は国内供給を維持するため、ガソリンの輸出禁止措置を今月から復活させた。ロシアは昨年9月にも同様の措置を導入し、その後解除していた。

ウクライナ側はロシア国内の石油関連施設を攻撃することで、ロシア政府の財政を圧迫し、ロシア軍の兵站を複雑にし、一般のロシア人の不満を高めることを狙っている。とはいえ、この作戦が決定的なものになるとは思わないほうがいいだろう。

ウクライナのエネルギー専門家であるヘンナディー・リャブツェウは、地元メディアのウクラインシカ・プラウダにこう語っている。「これらの攻撃は単発的なものです。(ロシアにとって)痛みをともなうもので物流は影響を受けますが、年間の(石油)精製量全体への大きな打撃にはならないでしょう」

ウクライナ軍にとってより重要なのは、こうしたドローン攻撃によって、ロシア側が貴重な防空システムをウクライナの前線から引き揚げ、国内の石油関連施設に配置し直すことを余儀なくされる可能性がある点だろう。非在来型の海戦などに詳しい防衛アナリストのH・I・サットンによれば、ウクライナがロシア国内への越境攻撃に用いている国産の長距離攻撃ドローンは少なくとも15種類ある。

ロシアは防空の強化に必死になっているらしく、今年予定していたインドへのS-400地対空ミサイルシステムの輸出も最近、2026年に延期している。また、英国防省によれば、ロシアはエネルギー関連施設にパーンツィリ地対空ミサイルシステムを配備する計画を進めているもようだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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