【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

AI

2025.04.22 09:00

6割がAI利用で「疑う力が抑制される」傾向に 均質化の罠にハマらないためのAI活用法

Shutterstock.com

Shutterstock.com

ChatGPTやCopilot、Claude、Geminiといった生成AIモデルが、職場の日常業務に組み込まれるケースはますます増加している。それにつれて、AI(人工知能)が批判的思考(クリティカル・シンキング)に与える影響にも、目が向けられるようになっている。

これらのAIツールがさらに高度に進化し、広範に導入されていくなかで、効率の追求と独立した思考とのあいだのバランスが変化し、期待と懸念の両方を呼んでいる。

カーネギー・メロン大学とマイクロソフト・リサーチによって先ごろ実施された研究は、知識労働者がAI生成コンテンツとどのように関わるかや、そこに生じる「認知的トレードオフ」のありようを精査したものだ。

専門的職業に就く319人を対象としたこの研究は、AIを利用する働き方へのシフトにはさまざまな側面があることを浮き彫りにしている。AIには多くのタスクにおいて、必要とされる精神的労力を減らしてくれる効果が認められた一方で、批判的思考が抑制される傾向も明らかになったという。

AIはどう「職場における批判的思考」を変えるのか

この研究で判明した結果で最も目を引くものの一つが、対象者の62%がAIを使っているときに「批判的思考を実行する頻度が減った」と回答していた点だ。これは特に、ルーティンになっている、あるいは重要度が低いタスクで顕著だった。

逆に、自身の専門知識に自信を持っている対象者は、AIによる生成物を額面通りに受け取ることなく、批判的な目で評価する確率が27%上昇した。この結果から分かるのは、AIの役割が受動的なアシスタントから、意思決定プロセスに積極的に関わる参加者へと進化しつつあるということだ。AIへの過剰な依存を防ぐためには、こうした状況について注意深く評価する必要がある。

「批判的思考を使う機会の増減」が意味するもの

この研究において、AIを使う際に批判的思考を用いる機会が多いということは、その働き手がAIによって生成された回答に対して能動的に疑問を投げかけ、検証し、ブラッシュアップすることを意味する。その例としては、以下のような行動が挙げられる。

・AIが出力したものを、外部の情報源を相互参照してファクトチェックすることを怠らない。
・AIが生成した情報に、バイアスがある可能性を考慮し、分析する。
・AIが生成したコンテンツを編集・推敲して、文脈や使用目的にさらに適合する形に作り替える。
・AIを確実な答えを生み出すものとは考えず、ブレインストーミングのツールとして活用する。

一方、批判的思考が少ないケースとしては、AIに過度に依存するパターンや、精査を経ずにAIが生成した回答をそのまま受け入れる行動などが挙げられる。こうした行動は、以下のような状況で生じる。

・AIが生成したコンテンツを、検証することなくコピーして使用する。
・AIのロジックに疑問を持つことなく、AI頼りの意思決定を行う。
・文脈を理解することなく、AIが生成した回答が正確だと決めてかかる。
・タスク処理がルーティン化し、問題解決や独立した思考への人間の関与が減少する。

次ページ > 多くの知識労働者に起きている「変化」

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事