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欧州

2025.02.24 09:00

ポクロウシク方面でロ軍の攻勢が行き詰まる 侵攻3年のウクライナ、米と亀裂の中で防衛戦

Shutterstock.com

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ウクライナ東部ドネツク州ポクロウシク市の近郊で22日かその少し前、ロシア軍のT-80戦車がウクライナ軍のドローン(無人機)による攻撃を受けて大きな火柱を上げ、残骸と化した。中にロシアの戦車兵が残っていたのであれば彼らにとって惨事だっただろうし、その様子をカメラ越しに見ていたウクライナのドローン操縦士らにとっては見ものになっただろう。これは同時に、ウクライナに対する全面戦争を始めて24日で3年になるロシアにとって、危ういジレンマの象徴でもあった。
ロシア軍の大規模な攻勢は終盤に差しかかっている。その失速を反転させるものがあるとすれば、米国によるウクライナに対する干渉だけかもしれない。

ウクライナ戦域に最大6つあるロシア軍の作戦グループのひとつである「ツェントル(中央)」軍集団は、2024年2月にドネツク州アウジーウカ市を陥落させて以来、50kmほど西のポクロウシクに向けてじわじわと前進してきた。ポクロウシクは、北方のハルキウ州ハルキウ市まで長々と連なる要塞都市群を支える要衝だ。

第41親衛諸兵科連合軍を中心とし、定員では少なくとも5万人の兵力を擁するツェントル軍集団は、どうにかポクロウシク郊外まで到達した。だが、その代償として人員数万人と、今回のT-80を含む車両2200両以上を失った可能性がある。

ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官(大将)によれば、1月だけでおよそ1万5000人のロシア兵がポクロウシク方面で「無力化」されたという。

ウクライナ軍は1年前にアウジーウカから撤退して以来、この方面での損害はロシア側よりもはるかに抑えられている。独立系アナリストのNaalsioの集計によると、この間、ロシア軍の装備の損害(撃破・遺棄・鹵獲・損傷)数が2300点近くにのぼるのに対し、ウクライナ軍の損害数は660点あまりと3分の1足らずだ。

ロシア軍の途方もない人的・物的損害は、ロシア軍がポクロウシク付近まで前進しながら、なおこの都市を攻略できていない理由になっている。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は22日の作戦状況レポートで、ポクロウシク方面について「ツェントル軍集団はこの3日間、どの正面でも前進しておらず、いくつかのエリアでは以前に占領していた陣地からの退却を余儀なくされた」と説明している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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