欧州

2025.02.21 09:30

ウクライナ、光ファイバーたどりロ軍ドローン操縦士を攻撃 「不屈」の意思と能力示す

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ウクライナ東部ドネツク州ボジャネ・ドルヘ村のすぐ南の雪に覆われた戦場で18日かその少し前、ウクライナ国家親衛隊カラダフ旅団(第15作戦任務旅団)のドローン(無人機)操縦士たちは、ロシア軍のドローンチームを追跡して攻撃した。彼らはその際、この戦闘に政治的な「反抗」という深い意味合いがあることに気づいていなかったかもしれない。

サウジアラビアの首都リヤドで18日、米国とロシアの高官たちが会合を開き、米ロ関係の正常化や、ウクライナでの戦争の終結に向けた道筋について話し合った。その道筋は侵略者であるロシアに有利なものになるおそれがあり、ロシアはウクライナの領土の約2割に相当する占領地を保持できることになるかもしれない。

とくに留意すべきなのは、会合にウクライナの代表が招かれなかったことだ。

米国を欧州の民主主義諸国との長年の同盟関係から引き離し、ロシアの残忍な権威主義政権に近づける方向に動かしているドナルド・トランプ大統領は、約3年におよぶロシアによる対ウクライナ全面戦争の責任をウクライナに転嫁しようとすらしている。

トランプは米フロリダ州の邸宅で、ウクライナの首脳らを指して「あなたがたは(戦争を)始めるべきでなかった」と言い放ち、「ディール(取引)をまとめることができたはずだ」と主張した。

実際には戦争を始めたのはウクライナ側ではない。また、取引ということであれば、ウクライナはロシアとの間でミンスク合意という「取引」をしたことがあるが、トランプはそれも忘れているらしい。2014年に始まったウクライナ東部での戦争の停戦合意であるこの取引を、ロシアがウクライナへのさらなる攻撃に向けた軍備増強の隠れ蓑に使ったことも。

いずれにせよ米国がウクライナに、侵略者ロシアとその支援国の北朝鮮に対する戦いの停止を強要するためにできることはほとんどない。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領もそれを知っている。「わたしたちは最も困難な時期に最後通牒を受け入れなかったのに、どうしていまウクライナにそれを受け入れる気があるだろうか」とゼレンスキーは述べている

トランプは、米国はウクライナに欧州よりも多額の支援をしているとも主張しているが、これも事実ではない。ドイツのキール世界経済研究所は、ウクライナへの援助額は欧州が1320億ユーロ(約20兆7000億円)、米国が1140億ユーロ(約17兆9000億円)ほどとなっており、「欧州全体では明らかに、ウクライナへの援助で米国を追い抜いている」と指摘している
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翻訳・編集=江戸伸禎

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