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欧州

2025.02.20 09:00

ウクライナの工作員、モスクワ近郊でロシアの最新対ドローンシステムを破壊か

Oleh Dubyna / Shutterstock.com

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ロシアは世界有数の高度な対ドローン(無人機)システムを開発し、その一基を首都モスクワの防空のために配備した。

ウクライナ国防省情報総局(HUR)はこの「バルダイ」レーダー・電子戦システムを見つけ出し、爆破したもようだ。ウクライナによるモスクワ方面へのドローン攻撃がしやすくなった可能性がある。

2月6日深夜、モスクワ北郊のドルゴプルードニーで何かが爆発した。地上にいた誰かがその爆発を携帯電話か何かで撮影していたようだ。
HURは「爆発物により、無人機を24時間自動探知・対抗するためのロシアのバルダイ・レーダーシステム2基が破壊された」と主張している。爆発があった軍部隊は「モスクワ上空の空域の安全に責任を負っている」とも説明している。

自走式のバルダイの一基をHURがどうやって見つけ出し、攻撃したのかはわからない。その様子とされる映像があることは、ウクライナの工作員が忍び寄り、爆発物を仕掛けたことを示唆している。ウクライナとの国境から500km近く離れ、人口の密集した地域での危険な破壊工作任務だったとみられる。

バルダイは明らかに、危険を冒してでも狙う価値があった。ロシア軍でもまだ希少と考えられるこの最新システムは、パッシブ無線探知機や赤外線センサー、レーダー、ジャマー(電波妨害装置)を組み合わせ、探知の難しい小型ドローンを最大10kmほど離れた地点から探知し、妨害する。モスクワのリャノゾボ電気機械工場が2016年に開発に着手し、2021年に最初の機材が配備された。

最も高度な対ドローンシステムも、人間が歩いて近づいて爆弾を仕掛けるという最も原始的な攻撃手段には弱い。ただ、バルダイは、みずからが検知し、妨害するはずのものに対しても弱いという証拠がある。2022年夏、バルダイシステムの一部はウクライナ軍のドローンから落とされた爆弾を被弾した。

ウクライナがドルゴプルードニーのバルダイを狙った理由は明白だ。ウクライナはここへきてロシア国内の航空基地や工場、石油施設に対する深部攻撃作戦を拡大している。先月、ロシアの石油産業を狙い撃ちした一連の攻撃では、ロシアの製油製品生産量を10%押し下げた可能性がある。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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