ウクライナのシンクタンクである「防衛戦略センター(CDS)は今月13日の作戦状況リポートで、クルスク州方面について「朝鮮人民軍の部隊が作戦地域に復帰した」と報告している。
CDSによると、北朝鮮部隊は以前は中隊規模で攻撃していたが、戦術を変更し、15〜20人単位のグループで攻撃するようになっているという。襲撃(アサルト)グループを小規模にすることで、北朝鮮部隊はウクライナ軍のドローン(無人機)に発見されにくくなり、発見された場合も損耗を抑えられるかもしれない。
クルスク州で戦っているウクライナ軍第47独立機械化旅団は、ロシア軍と北朝鮮軍の襲撃部隊にクラスター砲弾を撃ち込んでいる。クラスター砲弾は1発あたり擲弾(てきだん)サイズの子弾を最大88個ばら撒き、広範囲で敵の歩兵を殺傷できる。クラスター砲弾はクルスク州で北朝鮮部隊の攻撃を、昨年12月の初期のものを含め何度か撃破している。
ウクライナ国防省が運営するテレビチャンネル「アルミヤTV」の動画によると、第47機械化旅団などのウクライナ軍部隊は、敵が兵力を大規模に集中させている地点があれば、そこをまずクラスター砲弾でたたき、続いて敵側に「機会を与えない」ように通常弾(HE弾)で攻撃することが多いようだ。
FPV(一人称視点)攻撃ドローンと並んでクラスター砲弾は、北朝鮮部隊の人的損害を拡大させる主な原因になってきた。朝鮮人民軍の第11軍団を主力とする1万2000人規模の派遣部隊は、1月末か2月初めごろに一時撤退するまでに人員の3分の1を損耗したと伝えられる。
第11軍団の損耗を補うために北朝鮮がロシアに歩兵を増派したのかは不明だ。他方、北朝鮮がクルスク州やウクライナ東部でロシア軍を支援するため、かなりの数の大砲やミサイルシステムを送っているのは明らかだ。