欧州

2025.02.21 16:30

北朝鮮のミサイル車両がクルスク州に展開か 歩兵部隊は戦術を修正

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ウクライナ軍のドローンは最近、北朝鮮製M1989コクサン(谷山)自走砲の初撃破を東部で記録した。また、ロシア側のソーシャルメディアチャンネルが最近報告しているところによれば、プルセ-4対戦車ミサイル車両がクルスク州で戦闘を行っている(編集注:米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」はソーシャルメディアの情報として、プルセ-4はロシア国内で目撃されている車両用とは別の北朝鮮製対戦車ミサイルの名称である可能性が高いと指摘している)。

8連装ミサイル発射機を搭載したこの北朝鮮製6輪車両は昨年8月にウクライナの前線近くで初めて目撃され、4カ月後にウクライナ軍による初撃破が報告されている。生き残っている車両はこのところ、ウクライナ軍の戦闘陣地の可能性がある地点や装甲車両を攻撃しているもようだ。
もっとも、この対戦車ミサイル車両が戦果をあげても、クルスク州でのロシア側とウクライナ側の損失比率を均衡させるのにはわずかな貢献しかしそうにない。あるOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストの集計によると、ウクライナ軍は昨年8月にクルスク州に侵攻してから今年1月上旬までに、同州で装備を400点あまり失った。ロシア軍の損失数は550点弱にのぼっている。

とはいえ、戦争をめぐる政治情勢がウクライナに不利になりつつあるなか、北朝鮮の部隊やその兵器による攻撃ペースが鈍化するとは思わないほうがよいだろう。

ウクライナに数千億ドル相当のレアアース(希土類)権益の譲渡を迫り、拒まれたドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナに対して、ロシアに占領されている領土を事実上明け渡すよう圧力をかけているとみられる。ロシアは現在、ウクライナの国土のおよそ2割を占領している。

トランプは戦争の責任をウクライナに転嫁しようとさえしている。戦争を始めた側でないウクライナの首脳について「戦争を始めるべきでなかった」と批判した。

トランプが何を言ったり行ったりしようが、ウクライナはとくに欧州の支援強化によって戦い続けることができる。その決意は前線でも明らかだ。

クルスク州で戦闘に参加しているウクライナ軍のドローン操縦士、Kriegsforscherは「わたしは停戦について何も知らないし、交渉についても何も知りません」と記し、こう続けている。「わたしが知っているのは、この戦争が今年中には終わりそうにないこと、そして、わたしたちの敵を効果的に撃破する方法です」

ただ、この「敵」には、再びかなりの数になるのかもしれない北朝鮮兵や、同じく北朝鮮から送り込まれた大砲やミサイル発射機も含まれる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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