しかし、その転換は一筋縄ではいかなかった。シエによれば、同社は製品を「根本から作り直す」のに2〜3年を要したという。アルゴリズムをより包括的なものにし、不正対策のワンストップソリューションとして提供できるようにする必要があったからだ。
DataVisorはこの変革に向けて、2022年12月にブライトン・パーク・キャピタルの主導で4000万ドル(約60億1600万円)を調達したが、PitchBookによると、この時の評価額は2億6000万ドル(約390億円)と以前よりも低くなっていた。これは、フィンテック業界に対する投資家の熱意が冷え込んだためでもあったが、DataVisorの累計調達額は1億ドル(約150億円)を超えた。
「当時の私たちは、次のステージへ進むための資金が必要でした。この会社のテクノロジーが世界最高であることには自信がありました」とシエは語る。
そして、2人の新たな戦略は功を奏した。DataVisorは現在、後払い決済のアファームやデジタル銀行のソーファイ、カード発行プラットフォームのマルケタらを含む約50社を顧客とし、それらの企業のユーザー登録から取引の監視、送金チェックまでを包括的にカバーする深い関係を築いている。DataVisorの顧客は、取引データ量に応じた年間サブスクリプション費用を支払っている。
シエによれば、DataVisorの顧客の多くは、同社のツールが複数の詐欺対策ベンダーを組み合わせるよりも、管理がシンプルで一貫性を保ちやすい点に魅力を感じているという。DataVisorは、顧客に包括的なサポートを提供することで、競合他社よりも価値の高いサービスを提供している。「私たちは、このアプローチによって、長期的により大きな企業に成長したいと考えています」とシエは語った。
(
forbes.com 原文)