旅行業界のスタートアップであるKlookは、このラウンドにおける評価額を公表しなかったが、同社の評価額が10億ドル(約1540億円)を超えていることを確認した。
同社は、新たな資金をグーグルのGoogle Cloudとの人工知能(AI)関連の取り組みの拡大に投入し、顧客エクスペリエンスの向上や加盟店の業務支援を含む、「次の成長とイノベーション」を目指していくと述べている。Klookは現在、グーグルが提供するGeminiの基盤モデルを活用し、10言語での翻訳を自動化しており、その他の生成AIツールを使ってレビューや旅行商品の説明文の作成を行っている。
ロンドンを拠点に約200億ユーロ(207億ドル)を運用するヴィトルヴィアン・パートナーズの投資先には、香港を拠点とする物流分野のユニコーン、Lalamove(ララムーブ)や、エストニア発の国際送金サービスWise(ワイズ)などが含まれる。また、同社はオンライン旅行分野では、2016年に中国のTrip.comに約17億ドル(約2600億円)で買収されたフライト検索サイトのSkyscanner(スカイスキャナー)などにも投資している。
2014年に設立されたKlookは、旅行先でのアクティビティを中心とした予約サービスを提供しており、世界の2700の旅行先で57万件以上のアクティビティを掲載している。同社は、2018年に2億ドル(約300億円)の資金調達を実施した際に、香港では稀なユニコーン企業の1社となった。Klookは、2023年に初めて黒字化を達成している。
同社は、パンデミック後に旅行需要が回復したことを背景に新たな投資家を引き付けており、2023年12月には、Bessemer Venture Partnersが主導したシリーズE+ラウンドで2億1000万ドル(約324億円)を調達した。
しかし、オンライン旅行業界では、Trip.comやエアビーアンドビーのような大手に加えて、地域特化型のアプリも存在感を増しており、Klookは厳しい競争に直面している。
例えば、昨年12月には、台北を拠点とする旅行スーパーアプリのKKday(ケーケーディー)が、今後のM&AやAI投資のために約7000万ドル(約108億円)を調達した。また、昨年9月には、2017年にユニコーン企業となり、2023年に黒字化を達成したインドネシアのTraveloka(トラベロカ)が、タイ政府観光庁と提携し、宿泊施設の割引を提供すると発表した。
グーグルやテマセク、ベインキャピタルらが昨年12月に発表した報告書によると、オンライン旅行の総予約額は、東南アジアにおいて「予想より早く」パンデミック前の水準に回復した。そんな中、Klookのようなオンライン旅行代理店は、旅行向けのローンや保険などの分野でも収益化に成功していると指摘されている。
(forbes.com 原文)