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2025.02.13 11:00

「オープンソースAI」の導入を支援、米新興Pipeshiftが4億円調達

Shutterstock.com

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生成AIブームが拡大する中、多くの企業は、大規模言語モデル(LLM)を最大限に活用する方法を模索している。ここで大きなジレンマの1つは、ライセンス料が必要で、厳格な運用ルールに従わなければならないクローズドのLLMを選ぶか、自由にカスタマイズできるオープンソースモデルを選ぶかというものだ。

サンフランシスコに本拠を置くPipeshift(パイプシフト)は、自由に管理できるオープンソースモデルを選ぶ企業が増えると予想している。そのためには、迅速かつ効果的にLLMをデプロイできることが条件となるが、同社が提供するプラットフォームがそれを容易にするという。同社は1月23日、シードラウンドで250万ドル(約4億円)を調達したことを明らかにした。

「2025年は、生成AIが本番環境に移行する年となり、エンジニアリングチームはオープンソースモデルをインハウスで使用することの利点を実感するようになるだろう。これは、ハイレベルなプライバシーと制御に加え、性能の向上とコスト削減が実現する一方で、複数のコンポーネントをつなぎ合わせる、複雑で高価なプロセスでもある」と、パイプシフトの共同創業者でCEOのアルコ・チャトパディヤイは話す。

多くの企業は、そのような作業を行うための時間や資金、専門知識が不足している。そこでパイプシフトが目指すのは、複数のAIモデルや関連サービスを組み合わせ、相互に連携させるオーケストレーションのプロセスをワンストップで提供することだ。同社のプラットフォームは、オープンソースLLMのトレーニングからデプロイ、ビジネス内でのスケールまでを可能にする。これにより、企業は従来のように作業に数週間から数カ月を費やす必要がなくなる。

パイプシフトのアプローチは、利便性だけでなく、柔軟性も提供するとチャトパディヤイは主張する。「企業は、生成AIが発展する初期の段階で1つのLLMに縛り付けられる必要はない。我々のプラットフォームは、モデルの変更やLLMのつなぎ合わせを容易にする」と彼は述べている。

同社の顧客の1社であるNetAppでソフトウェア・エンジニアリング担当ディレクターを務めるアヌ・マンガリーは、パイプシフトの実用性と費用対効果について、「既存のGPUをオーケストレーションする能力が非常に優れており、企業は本番環境でのコンピュート・フットプリントとコストを削減することができる」と述べている。

Yコンビネータらが主導で資金調達

パイプシフトの投資家も、同社の成長性を確信している。今回のラウンドは、Yコンビネータと人工知能(AI)に特化した投資会社のSenseAI Venturesが主導し、テックセクターの著名なエンジェル投資家たちが参加した。

「企業は、プライバシーやオーナーシップ、低コストという利点のためにオープンソースの生成AIを好むが、本番環境に移行するには複数のコンポーネントをつなぎ合わせる必要があり、複雑で高価なプロセスとなっている。パイプシフトが提供するエンタープライズ・グレードのオーケストレーション・プラットフォームは、デプロイの簡素化やプロダクション・スループットの最大化によってエンジニアリングコストの削減を実現している」と、SenseAI Venturesのマネージング・パートナーであるラフール・アガルワラは述べている。

パイプシフトは、今回調達した資金でプラットフォームの完成度を高め、事業の認知度の向上を図る計画だ。チャトパディヤイは、今後数カ月でアップグレードを完了できると確信している。

「我々は、オープンソースモデルへのアクセスを民主化できると考えている。ビジネスリーダーたちは、営業担当者が売りたいモデルを受け入れるのではなく、何が可能なのかを認識する必要がある」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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