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欧州

2025.01.23 09:30

ロシア軍の「松葉づえ大隊」が足を引きずりながら突撃、悲惨な結果に

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ロシアのマンパワー(人的戦力)システムは逼迫する一方だ。ウクライナ軍のドローン戦力が拡大する一方、ロシア軍の装甲戦闘車両の累計損害数が1万1000両以上に達するなか、ロシア軍の指揮官は数少ない現代的な戦車や装甲車を温存し、代わりに歩兵を徒歩で戦闘に送り込まざるを得なくなっている。その歩兵は十分な支援を受けられない場合が多い。
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こうした歩兵先行攻撃は有効でもある。不整地に散開する歩兵は、戦場に遍在するウクライナ軍のドローンにとって、大きくて見つけやすい戦車や装甲車よりも狙うのが難しい目標だからだ。

ロシアのある軍事ブロガーは、ロシア軍による戦車や装甲車での突撃は「毎回、戦果がゼロだ」と嘆いている。一方、「歩兵は砲兵やドローンの支援を受けつつ、ゆっくりと、だが着実に」ウクライナ側の陣地を奪っていくと説明している。

とはいえ、その歩兵にも膨大な犠牲者が出ている。ロシア軍のドクトリンが車両よりも歩兵を優先するように進化するなか、ロシア軍の1日の損耗人数は急増している。ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官(大将)は、ロシア軍は2024年に、戦死者15万人を含む43万4000人の人的損害を被ったと主張している。これはロシア軍の過去2年の合計損耗人数よりも多い数だ。
ウクライナ軍の損耗人数はそれよりもかなり抑えられているようだ。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は昨年12月、ロシアが2022年2月に全面侵攻を開始して以降のウクライナ軍の戦死者は4万3000人、戦傷者は37万人と説明している。

車両を使わず、歩兵が最初から徒歩で戦闘に入るというのは、ロシア軍のアセットであるマンパワーにものを言わせた戦術と言えるが、わずかな前進のためにそのアセットを浪費する危険をともなう。ロシア軍が過去1年にウクライナで広げた支配領域は比較的ささやかなものだ。

人員は総体としては再生可能なリソースだが、すぐに、あるいはたやすく再生できるものではない。松葉づえをついて戦闘に赴くロシア兵が増えているという現状は、ロシアが人的資源を、再生する以上のスピードで消耗していることを明確に示している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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