結果も予想どおりだった。ウクライナ陸軍の第22独立機械化旅団と第17独立重機械化旅団を主力とする守備隊側は、現在650平方kmほどの広さの突出部の北西周縁に位置するマラヤ・ロクニャ村近辺で、ロシア空挺軍第234親衛空挺強襲連隊のBMD8両のうち4両を撃破した。うち1両を撃破したウクライナ海兵隊ドローン(無人機)部隊の操縦士、Kriegsforscherは、ロシア側が3カ月にわたって同じ場所を攻撃してくる「意味が本当に理解できない」とあきれている。
ロシア軍の同じ部隊が同じ道路から車両による突撃を繰り返し、ほぼ毎回失敗していることには、ロシア人も困惑しているようだ。ロシアのある軍事ブロガーは、ロシア軍の一部指揮官はウクライナ側のドローンが見張る中間地帯を越える無謀な「バンザイ攻撃」に車両を送り込み、何も得られず、すべてを失っていると指摘し、こうした頑迷な指揮官を皮肉交じりに「天才」と呼んでいる。
ロシア側がクルスク州で凄まじい数の人員を損耗していることは、こうした予測可能で犠牲の大きい攻撃から説明できるだろう。クルスク州から2万人規模のウクライナ軍を排除しようとしている6万人規模のロシア・北朝鮮連合軍は、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領によればこれまでに最大3万5000人を失ったという。
ロシア側がクルスク州で昨年11月に着手した本格的な反攻によって、ウクライナ側が保持する突出部は縮小してきたものの、消滅はしていない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、クルスク州での反撃が全体的に失敗するなか、自軍による完全奪還の期限を先延ばしし続けている。その期限は当初、昨年10月に設定され、その後今年2月に延長されたと伝えられるが、後者もまた放棄されたようだ。