ウクライナとロシアの一部の1300km近くにおよぶ戦線では、ウクライナ軍のドローンが四六時中、いたるところをうじゃうじゃと飛んでいる。そのためロシア軍の戦車や装甲車は、遮蔽物のある場所から出てくれば必ず敵のドローンに見つかり、致命的な結果になる。
たしかにロシア軍は引き続き前進している。ただ、その前進は主に、凄まじい犠牲を払いながらではあるものの、徒歩で達成されている。
14日かその少し前、ウクライナ東部ドネツク州トレツク市の北東10kmほどに位置するクルデュミウカ村の外れにある接触線に向かって、ロシア軍の戦車1両が未舗装路、あるいは平原のわだちを走ってきた。ロシア軍はクルデュミウカから見て南西のポクロウシク市の攻囲を進めると同時に、クルデュミウカの北西のチャシウヤール市の攻囲も進めている。
戦車はあまり先まで進めなかった。ウクライナ国境警備隊の攻撃ドローン部隊「フェニックス」は「この鉄の塊の運命は明白でした」と報告している。「われわらの仲間がこっぱみじんにしました」
Video of strikes with four FPVs and night bomber UAV on a Russian tank by the Ukrainian Border Guard's Phoenix strike UAV company.https://t.co/IvqxWQ5r4M pic.twitter.com/1HpPpl5hED
— Rob Lee (@RALee85) January 15, 2025
この戦車の乗員、もっと言えば乗員の指揮官が、なぜウクライナ側の無人機が容易に届く範囲にある開けた土地を、戦車が1両で白昼堂々と越えていけると考えたのかはよくわからない。ロシアのある軍事ブロガーは、戦車などによる機械化攻撃を命じ続けるロシア軍指揮官を「天才」と皮肉っている。
その軍事ブロガーいわく、そうした指揮官は、敵のドローンが監視する中間地帯を無謀にも横切ろうとする「バンザイ攻撃」に戦車や装甲車を送り込み、何も得られず、すべてを失い、おまけに「ウクライナ軍に高揚感をもたらすようなコンテンツ」を提供する。
事実、ウクライナ側による今回の手際のよい戦車の撃破も、フェニックス部隊のソーシャルメディアチームにとって格好のネタになった。