欧州

2025.01.15 09:30

北朝鮮軍がクルスク州に持ち込んだ珍しい防空車両、ロシア軍のドローンに誤爆される

ロシアのトール-M2短距離地対空ミサイルシステム。2019年9月、ロシア・イジェフスク=シャッターストック

ロシアのトール-M2短距離地対空ミサイルシステム。2019年9月、ロシア・イジェフスク=シャッターストック

北朝鮮はロシア西部クルスク州でウクライナ軍の強力な侵攻部隊と戦うロシア軍に加勢するため、朝鮮人民軍第11軍団の兵力1万2000人を派遣するのと並行して、自国製の対戦車ミサイル車両自走カノン砲多連装ロケット砲もロシアに送った。

第11軍団は、大型の装輪車台と、ロシア設計で通常は装軌車両のトール地対空ミサイル(SAM)システムのレーダーと発射機を組み合わせた、めったにお目にかかれない防空車両もロシアに持ち込んでいた。

北朝鮮仕様のトールというのはあまりに珍しいため、ロシア軍も味方の車両だと認識できなかったようだ。10日かその少し前、ロシア軍のドローン(無人機)はこの車両を見つけると、攻撃して破壊した。

ロシア側はその映像をソーシャルメディアで共有した。ロシア軍が、この攻撃によって、クルスク州の650平方kmほどの突出部を守るウクライナ側防空網に大きな打撃を与えたと信じていたのは明らかだ。

破壊された車両の正体を外部の観察者が特定するのには数日かかった。ポーランドのアナリストであるWarVehicleTrackerは「当初『西側製レーダーシステム』とされていたものは、運転席付き車台に載せられた北朝鮮版トールSAMである可能性が非常に高そうだ」と結論づけた
WarVehicleTrackerは、ロシア軍が自軍側のSAMシステムを攻撃するというのは「おかしなこと」としつつ、クルスク州にいるロシア軍のドローンチームは、この珍しい北朝鮮軍車両が現地に入っているのを知らされていなかったのかもしれないと推測している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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